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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

欧米化された食事でも問題ない?

2017年5月14日

テーマ:医療マメ知識

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

欧米化された食事でも問題ない?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「欧米化された食事でも問題ない?」という報告です。
JPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)において、日本人の食事パターンと全死因、がん、心血管疾患による死亡との関連を調査した結果、健康的な食事パターンと欧米化された食事パターンでは、全死因および心血管疾患の死亡リスクが低いことが示唆された。欧米化された食事パターンでの結果はこれまでの報告と矛盾するが、研究グループでは塩の摂取が少ないことや飽和脂肪酸の高摂取による寄与の可能性を考察している。
対象は、JPHC研究の2次調査(1995~98年)に参加し、重大な疾患の既往歴のない45~74歳の男性3万6,737人と女性4万4,983人。食事パターンは、食事摂取頻度調査票によって確認された134品目の食品および飲料の摂取量から抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・健康的な食事パターン(野菜、果物、大豆製品、いも類、海藻類、きのこ類、魚の摂取量が多い)は、塩の摂取が多いにもかかわらず、全死因および心血管疾患による死亡の低下と有意に関連していた。
・健康的な食事パターンスコアの最低四分位に対する、最高四分位での死亡の危険率は、全死因死亡が0.82倍、心血管疾患による死亡が0.72倍であった。
・欧米化された食事パターン(肉類、加工肉、パン、乳製品、コーヒー、紅茶、ソフトドリンク、ドレッシング、ソース、マヨネーズの摂取量が多いが、塩の摂取量が少ない)も、全死因、がん、心臓血管疾患による死亡リスクと逆相関していた。
・伝統的な日本の食事パターン(ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物などの摂取量が多い)は、これらのリスクと関連していなかった。
既存の報告では基本的に生活習慣病の増加も含めて日本人は食生活の欧米化は最大の要因の一つと考えられてきましたが、今回の報告はそれと真っ向から反対するものとなります。その要因の一つとしてここでは塩分の摂取の少なさと良質な脂肪の摂取の多さに言及していますが、まさに日本が糖尿病大国になった最大の要因の一つも脂肪分、特に質の悪いものを多く摂取するようになったことが考えられていますから、実は既存の報告とも強ち矛盾するものでもないのかも?知れません!

17.5.13 花々

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