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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

肉食男性は大腸がんの危険?

2017年3月16日

テーマ:医療マメ知識

コラムカテゴリ:医療・病院

肉食男性は大腸がんの危険?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「肉食男性は大腸がんの危険?」という報告です。
肉を多く食べる男性は、そうでない人と比べて、大腸がんの発症リスクが有意に高いことが、岐阜大学での研究で明らかになった。肉を多く食べ過ぎないことが、大腸がんの発症抑制につながるかもしれない。日本人における肉の消費と大腸がんに関するエビデンスは、欧米人のそれと比較して限られている。そのため同研究者らは、日本において集団ベースの前向き研究を実施し、食肉の消費と大腸がんリスクの関連について評価した。
対象は、1992年9月時点で35歳以上の男性1万3,957人、女性1万6,374人。食肉の消費は、食物摂取頻度調査票を用いて評価した。大腸がんの発症率は、地域集団ベースのデータおよび2つの主要病院で実施された大腸内視鏡検査における組織学的同定により調査した。
 主な結果は以下のとおり。
・1992年9月~2008年3月までに、男性429人、女性343人が大腸がんを発症した。
・複数の関連因子の調整後、男性の総食肉摂取量および赤肉摂取量の最高四分位群は、最低四分位群と比較して大腸がんの相対リスクが有意に上昇した。総食肉(危険率:1.36倍)、赤肉(危険率:1.44倍)
・男性の加工肉の摂取と結腸がんリスクとの間に正の関連性が認められた。
・女性の大腸がんと食肉消費との間には有意な関連は認められなかった。
最近は女性はもとより男性も胃がんに比べて大腸がんも増加してきています。その理由に食事の欧米化ということは言われていましたが、今回の3万人あまりの調査研究で肉を多く食べる男性に大腸がんが多く発症するということが明らかになりました。元来、日本をはじめとした東アジアの民族は米を中心とした穀物などを主食としていたのですが、特に日本では戦後70年で急速に肉食の文化が浸透してきました。肉を食べるのが悪いわけでは決してありませんが、大腸がんや生活習慣病予防の立場からも世界文化遺産にも取り上げられている世界に誇るべき日本食を改めて積極的に取り入れるべきなのかも知れませんね。
       
16.3.16 吾妻小富士
 昨年3/16の吾妻小富士。山頂付近の雪は今シーズンに比べて明らかに少ない感じです!

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