持ち運ぶノートパソコンに多い故障原因は振動と衝撃!バッグ収納時の注意点

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:機器と端末の管理と保守

いつも持ち運んでいるパソコンほどトラブルが多い

最近ではビジネスだけでなく、日常生活でもパソコンやタブレットなどを持ち歩く習慣になっている人が増えています。

私のこれまでのサポート事例では、室内で据え置きのまま使用しているノートパソコンと比べて、いつも持ち運んでいるものほど傷みやすく、機械的故障やトラブルが多い傾向にあります。

その理由は、やはり移動時に受ける「振動」や「衝撃」です。

「自分のパソコンはSSD搭載だから振動なんて関係ない話だ」と思いたいかもしれませんが、この問題はそれだけにとどまらないところが「問題」なのです。

ではなぜ、SSDのパソコンでも振動や衝撃がNGなのか、サポート事例から判明している事実を元に解説します。

1.振動・衝撃は思っている以上にダメージが大きい


普段、持ち運びの際には多くの人が専用のケースやバッグに入れているため、多少の振動や衝撃からはある程度守られています。しかし、扱い方によってはそれにも限界があります。

自分ではやさしく置いたつもりでも結構な衝撃になっていたり、知らない間にどこかにぶつかって衝撃が加わっていたりすることがあります。

「少し当てただけなのに、なぜ壊れた?」という破損の経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

力の加わり方や場所にもよりますが、衝突による衝撃は、自分が感じているよりも意外とダメージが大きく、精密機械にとっては大変な事態なのです。

これを、物理の法則(作用反作用など)で考えてみましょう。

例えば、固く動かないコンクリート面に機器本体が落ちてぶつかった瞬間、ぶつかる物(質量)の持つスピードは一旦完全に「ゼロ」になります。

つまり、落下していたときの「運動エネルギー」が、衝突の瞬間に一気に別のエネルギー(物体を変形・破壊させる力)へと変わるのです。

※コンクリート面に落とすと、衝撃エネルギーはコンクリートから返ってきてそのまま本体が受けてしまう。

コンクリートは硬く、変形もしないため、その衝撃エネルギーのほとんどすべてが、瞬間に「反作用」としてぶつかった本体に返ってきてしまいます。その結果、エネルギーが本体の破損や変形という形になって伝わってしまうのです。


逆に、柔らかいクッションなどの上に落とした場合は、クッション側が変形することでエネルギーを吸収・消費してくれます。そのため、反作用で返ってくるエネルギーが小さくなり、本体へのダメージが少なくなります。

衝撃を受けることで発生する主なダメージ


  • 外装の破損・変形: ボディが凹んだり割れたりする。
  • 内部回路の巻き込み破損: 外装の変形に伴い、内部の基板や装置が押しつぶされて破損する。
  • HDDの故障: 内部のディスクや磁気ヘッドが物理的にクラッシュする。

などがあげられます。

振動によるダメージの実態

また、「振動」は衝撃よりもダメージが少ないイメージがあるせいか、ぶつけたり落としたりすることほど意識されていない傾向があります。

しかし、本当に怖いのは「繰り返される振動」です。

一度の強い衝撃よりも、繰り返し与えられる微細な振動のほうが、結果としてダメージが大きくなる場合があるからです。

これは、航空機事故などの原因としてよく耳にする「金属疲労」をイメージすると分かりやすいでしょう。

繰り返す振動が及ぼすトラブル


  • ねじや接合部の緩み: 液晶を開閉するヒンジ(蝶番)などの固定ねじが徐々に緩む。
  • 基板マウント部の亀裂(クラック): 振動でハンダ付けや基板の固定部にヒビが入る。
  • 摩耗や接触不良、断線: 内部の配線やコネクタが擦れ合い、通電しなくなる。

以上のように、繰り返し振動を受けることで、一度の強烈な衝撃と同等、もしくはそれ以上の悪影響が機器に及びます。「一度もぶつけたことがないのに壊れた」「いつの間にか壊れていた」というミステリーのような故障は、こうして起きているのです。

2.収納・保管方法に問題がある


コネクタ類やケーブル類、USBメモリなどの外付けデバイスを、PC本体に挿したままバッグやケースに格納して持ち運ぶという方は多いと思います。

いちいち外すのは面倒なのも分かりますが、移動中の振動や荷重の集中によって、バッグの中といえどもコネクタや端子を痛めたり破損させたりすることがあります。

電源コネクタやUSBケーブル、USBメモリ、マウスの無線レシーバーなどの突起物は、挿したままにせず必ず取り外して保管・持ち運びをしてください。


※コネクタ類は必ず抜いて収納する

また、バッグやケース内に充電器(ACアダプター)やマウスをパソコン本体と一緒に押し込んでしまうと、本体の一部に強い圧力が集中する「応力集中」を引き起こします。

例えば、バッグの中でノートパソコンやタブレットの液晶画面にACアダプターの角が当たった状態で荷重が加わると、画面が割れたり変形したりしてしまいます。

他にも、移動中の振動によって本体と周辺機器が擦れ合い、傷が入ったり、塗装が剥げたり、凹みや亀裂の原因になったりもします。

特に、小さすぎるバッグやケースにギュウギュウに詰め込むのは無理があります。

ある程度格納スペースにゆとり(クリアランス)が無いと、外側から衝撃を受けた際のダメージがダイレクトにパソコン本体へ伝わってしまいます。ケースやバッグの素材が薄い場合は、この傾向がさらに顕著になります。

逆に、ケースやバッグが大きすぎても、中でパソコンが動いてシェイクされてしまい、まるで「地震体験装置」のようになってしまいます。これではバッグに入れた意味がありません。

ケースやバッグのサイズ・材質をしっかり吟味することがトラブル回避の第一歩です。価格だけで決めたりせず、購入前によく確認しましょう。

3.自分の手から離れる場合の危険性

航空機に乗る際の手荷物預けや、宅配便でパソコンを送る場合など、自分の手を離れて荷物として扱われる際には、これまでに挙げたリスクがすべて跳ね上がります。

自分の手から離れた荷物がどのように扱われているかは分かりませんが、少なくとも「ある程度過酷に扱われても耐えられる梱包・格納」をしておくべきです。

また、航空機の客席に手荷物として持ち込んだ場合でも安心はできません。後からやってきた乗客が、天井の収納棚に先に入っていたあなたのパソコンバッグの上から、自分の荷物を無理やりグイグイと押し込んでくるケースがあるからです。

機器を持ち運ぶ際には、このように「自分の手から離れたときにどんな危険があるか」まで、十分に意識しておくことが大切です。

筆者実績
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古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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