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新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里(しんがいちさと) / 経営コンサルタント

有限会社サミットリテイリングセンター

コラム

コスト削減と粗利益アップを即効で実現できる    『単純化』という重要で簡単な戦略

2024年3月4日 公開 / 2024年3月13日更新

テーマ:スーパーの業務改善

コラムカテゴリ:ビジネス

単純化とは、簡単に表現をすれば、
今まで普通にやっていた業務や作業のムダを見つけ出し潰して無くし、「時間とお金を生み出す」という考え方とその一連の技術のことです。

また、逆の言い方をすれば、少ない時間とお金で、今までと同じかそれ以上の成果を生み出そうと言うことです。
しかも、「売上は伸びない状況でも・・・」それを実現しようとすることです。

「生産性が低い」「なかなか利益が出ない・・・」
と悩んでいる企業は、単純化という戦略の実践で、V字回復のための足掛かりを掴むことが出来るでしょう。

■3S活動の意味を理解する

生産性アップを考える時に、ぜひ知っておきたい戦略の一つが3S活動です。

3S活動は色々なところで行われますが、スーパーマーケットの生産活動の改善を目指すときにも重要なフレームワークでもあります。
単純化(Simplification)と 標準化(Standardization)、専門化(Specialization)のアルファベットの各頭文字をとって3Sと表現します。

3S活動を簡単に解説すると、

①単純化(Simplification)
業務(作業・動作)を実地調査し整理して、その種類と工数を減らすこと
そのことによって、作業(投入)人時を減らすことを実現する

②標準化(Standardization)
業務(作業・動作)の進め方で、一番良い方法を定義して定着をはかること
そのことによって、チーム全体としての生産力やサービス力をアップさせる

③専門化(Specialization)
同業他社に対して、商品やサービスの絶対的優位を獲得するための活動のこと
そのことによって、差別化戦略の実行効果を拡大させて競争力を高める

という様な戦略的活動のことを3S活動と言います。

今回は、3S活動の中で、最も簡単にそして短期に、スーパーマーケットの現場の改善成果を出すことのできる活動である単純化について、その意味と進め方を説明していきます。

■単純化の意味と効果性

単純化とは、簡素化や効率化の手法のことですが、
スーパーマーケットにおいても、この単純化が生産性を高めていく上で重要な役割を果たします。

まず、単純化の意味を考えてみましょう。
スーパーマーケットにおける単純化とは、
・商品ラインの簡素化
・業務プロセスの最適化(単純化)
・技術の活用(導入)
・従業員のトレーニング
・顧客エクスペリエンス(経験・体験)の改善
など様々な側面において、複雑さを減らし、シンプルで効率的な業務運営を目指す取り組みです。

これには、数々の意義がありますが、
まず、スーパーマーケットの経営者にとって大きくは、
①効率的な運営によるコストを削減する
②利益の最大化が実現する
などが期待できます。

例えば、商品ライン(店内物流)の簡素化によって在庫管理や陳列作業の効率が向上し、商品ロスや人時ロスを減らすことができます。
また、プロセスの最適化や技術の活用によって業務効率が向上し、従業員ひとり一人とチームの生産性が高まります。

■「お客の視点」の単純化を考えてみる

単純化は、単に会社側だけのことだけではなく、顧客にとっても大きな利点が得られます。
例えば、レジの精算システムをセミ・セルフに変えることによって、
・レジの待ち時間の短縮
・レジの迅速な処理(登録と精算)
・レジ精算時のストレス軽減
など、顧客エクスペリエンスの改善によって、快適でスムーズな買い物体験が提供されます。
これらは顧客満足度の向上に繋がり、客離れを減らして、リピーターを増やすことにも繋がります。

また、レジ担当者の作業負担は動力的にも精神的にも軽減され、一人当たりの精算処理時間は大幅に削減できるようになります。

要するに、スーパーマーケットの単純化は、効率性と顧客満足度の向上に直結する重要な取り組みになるのです。

低価格化や商品やサービスの高品質化など、日々進化する小売業界において、単純化の重要性を見逃さず、ビジネスの成功に向けて努力していくことは経営の重要課題です。

■「店内作業の視点」で単純化を考えてみる

スーパーマーケットの作業で、ドラッグストアなど他の業態と大きく違う点は、原材料を加工して商品化するという生産工程が加わることです。

グロサリーや日配の陳列や補充作業などの作業工数は、他の業態と大きく変わるものではありませんが、生鮮品の作業全体の種類と工数は、その商品化や売場管理全般の作業によって増大することになります。

そのために、業務や作業全般の単純化に向けた取り組みは、作業種が多く存在する分、それぞれの作業のムダを削減することによって、営業利益の拡大に大きな貢献を果たす可能性を秘めています。

例えば、商品が、入荷から陳列、そして、お客が購買されるまでの「店内物流」という観点から店内の作業全般を見渡せば、
・作りすぎ
・出しすぎ
・見切り、廃棄作業
・ムダな移動
・道具の不備
・ムダな在庫管理
・手順の間違い
・待ち時間
・訓練不足
などなど、多くのムダが発生している現場を発見することが出来ます。

日々行われている多くの作業に立てして、少しだけ改善の手を加えるだけで、作業工数と時間は削減され、生産効率を高めることが可能になります。

■単純化の推進手順

【現状の分析】
まず、現場の現状を実地調査によって、細かく観察、分析を行います。
これには、
・商品のラインナップ
・過剰な在庫
・在庫管理の方法
・店内物流の実態
・作業のプロセスや手順
・従業員の役割と作業負担
・作業スキル全般
・前工程であるセンターからの荷姿やマテハン
・各マネジメント・スキル
・顧客の購買パターン
などが優先課題となるでしょう。

この分析によって、どの領域やポイントに問題があるかを発見し、単純化によって最も効果を発揮する箇所を特定し、成果の大小や顧客満足や従業員満足の視点で改善活動の優先順位を設定していきます。

また、これらの課題は、生産効率や粗利益など向上を阻害している制約条件(ボトルネック)とも言えます。


【目標の設定】
単純化の目標を設定します。
これには、
・商品ロスの削減(適正値の設定)
・作業工数、作業時間
・在庫量の最適化(削減)
・従業員の生産効率向上(作業処理時間)
・顧客満足度の向上
などが含まれます。

定量と定性に分けて、出来る限り明確な目標を設定することで、取り組むべき重要な項目が明確化されます。


【重要なプロセスの特定】
分析の結果をもとに、店舗運営において特に重要なプロセスや領域を特定します。
特に、顧客満足と従業員満足の視点を重視し忘れないようにしなければなりません。

例えば、
・鮮度管理
・在庫管理
・作業(加工、補充、その他)
・レジ処理
・顧客サービス
などが該当します。


【ムダどり(除去)】
特定したプロセスや領域において、ムダな作業や手順を見つけ出し、削減します。

これには、
・過剰な在庫の削減
・レジ処理の最適化
・不要な作業(動作)の削減
・〃  工程の削減
・商品入荷に関わる不備
などが含まれます。

不要な複雑さや無ムダな時間の浪費を減らすことが重要です。

【効率化設備や仕組みの導入】
プロセスや作業手順をより効率的なものに変えるための改善を実施します。

これには、
・テクノロジーの導入や自動化
・従業員のトレーニングや教育
・新しい設備やツール(システム)の導入
などが含まれます。

例えば、
・POSシステムのアップグレード
・省エネルギーの仕組み
・在庫管理システムの導入
・生産効率を高める設備の導入
・従業員のスキルアップ・カリキュラム
などがあります。

これらには、
①即効性があり導入と同時に費用対効果が得られるもの。
②即効性はないが、中長期的に見て大きな成果が得られるもの
に分けて考えることが重要なポイントです。

また、店内作業の手間や工数を削減するためには、ディストリビューションセンター(DC)やプロセスセンター(PC)など、社内社外の物流システムを構築すること、そしてそれが、現場最適化であることは、大規模な単純化の仕組みづくりになります。

【定期的な評価と改善】
単純化の取り組みは一度で終わるものではありません。

定期的に進捗状況を評価し、些細なことでも改善の余地があれば適切な対策を講じます。
環境の変化や市場動向に応じて、社内の基本的な戦略(理念)として、単純化の戦略を調整し続けることが重要です。

以上のステップを踏むことで、スーパーマーケットの単純化が進み、ムダの排除と時間とお金、そして人材を戦略分野に有効的に振り向けることによって、さらに生産性と利益が向上することが期待されます。



単純化は、顧客のため、従業員のため、そして、会社の継続発展のための重要なプロセスなのです。
絶対に避けて通ることは出来ません。


さて、あなたの会社、お店(本部)、部門では、単純化の活動は行われているでしょうか?
そして、成果を出しているでしょうか?
目先の売上だけに気を取られていないでしょうか?


単純化は、継続的に行われるべき、スーパーマーケットの重要戦略なのです。



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