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小堀將三

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小堀將三(こぼりしょうぞう) / マンション管理士

マンション管理士事務所JU

コラム

マンション標準管理委託契約書が改訂されました

2023年9月12日

テーマ:管理組合

コラムカテゴリ:住宅・建物

 昨日(9月11日)、国土交通省から「マンション標準管理委託契約書」を改訂したことが公表されました。
今回改訂された主な内容は、次の内容です。
●書面の電子化及びIT総会・理事会等への対応
●担い手確保・働き方改革に関する対応
(カスタマーハラスメント、管理員・清掃員の休暇取得等)
●マンション管理業の事業環境の変化
(居住者の高齢化、感染症のまん延等)

 今回の改訂のほとんどはコメント内容ですが、契約条文で改定された箇所及び追加された箇所を一部紹介させていただきます。
まず追加された条文は、カスタマーハラスメント防止に関するもので、以下の第8条が追加されました。

(管理事務の指示)
第8条 本契約に基づく甲の乙に対する管理事務に関する指示については、法令の定めに基づく場合を除き、甲の管理者等又は甲の指定する甲の役員が乙の使用人その他従業員(以下「使用人等」という。)のうち乙が指定した者に対して行うものとする。

 この条文は、理事長や理事以外の方は、フロント担当者や管理員に直接指示できないという内容です。何か指示したいことがあるのであれば、理事会にその旨を意見書等で伝え、その旨が正しいと理事会が判断すれば理事長から指示してもらうということです。また、カスタマーハラスメントについては、第12条(有害行為の中止要求)第1項第四号の「管理事務の適正な遂行に著しく有害な行為」として明記されました。

 次に改訂された主な条文は次の条文です。

(個人情報の取扱い)
第18条 乙は、管理事務の遂行に際して組合員等に関する個人情報(以下「個人情報」という。)を取り扱う場合には、本契約の目的の範囲において取り扱い、正当な理由なく、第三者に提供、開示又は漏えいしてはならない。
2 乙は、個人情報への不当なアクセス又は個人情報の紛失、盗難、改ざん、漏えい等(以下「漏えい等」という。)の危険に対し、合理的な安全管理措置を講じなければならない。
3 乙は、個人情報を管理事務の遂行以外の目的で、使用、加工、複写等してはならない。
4 乙において個人情報の漏えい等の事故が発生したときは、乙は、甲に対し、速やかにその状況を報告するとともに、自己の費用において、漏えい等の原因の調査を行い、その結果について、書面をもって甲に報告し、再発防止策を講じるものとする。
5 乙は、個人情報の取扱いを再委託してはならない。ただし、書面をもって甲の事前の承諾を得たときはこの限りではない。この場合において、乙は、再委託先に対して、本契約で定められている乙の義務と同様の義務を課すとともに、必要かつ適切な監督を行わなければならない。
6 乙は、本契約が終了したときは、甲と協議を行い個人情報を返却又は廃棄するものとし、その結果について、書面をもって甲に報告するものとする。

 個人情報の適正な取り扱いの確保を図るために、個人情報取扱事業等に係るガイドラインを参考にして、従来の2項だけの条文を6項にしてより詳細に規定されています。特に第6項が今後重要だと思われ、次回の管理委託契約更新の際には必ず入れてもらうようにてして下さい。これにより、管理会社の変更等で契約が終了した場合、預けて保管してもらっていた個人情報資料を返却してもらうことになり、返却しない場合には契約違反となります。勿論、契約に規定されていなかったとしても破棄、返却は要求できるとは思いますが、明記しておく条文だと思います。

 以下の国土交通省のホームページから、今回の改訂内容がご覧いただけますので、次の契約更新時に改訂内容を踏まえた条文になっているかどうかを是非チェックしていただきたいと思います。

国土交通省
報道発表資料:マンション標準管理委託契約書を改訂しました 

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