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コラム
「住まいの終活」に「住い教育」を
2021年6月12日
住宅の購入や建設は、多くの人にとって一生に一度か二度の高額な買い物です。
「衣食住」と呼ばれるように、住まいは日々の暮らしに不可欠なことは言うまでもありません。
これほど大切な住まいに対する十分な知識や情報は十分に備わっているでしょうか。
住まいの終活においても、消費者は受け身ではなく、元気なうちから学んでいく必要があると思います。
マンションの耐震偽装やアスベスト被害のように、専門家でない消費者には防ぎようのないことは現実にあります。しかし消費者にもう少し知識や情報があり、しっかり確認しておけば損害を免れたこと、後悔しなくて済んだことも少なくないはずです。住宅は高額にも関わらず、必要な調査をせずに価格や品質も十分検証しないまま、業者の話を鵜吞みに契約していませんか。
このような現状に対して、筆者は消費者教育の一環として住まい教育の必要性を感じています。住まいの仕組みや成り立ち、取得や使用するための方法と制約、生活の場としての暮らしや住環境、更には近隣や地域社会との関係性などが含まれます。住まいの歴史や現状、将来の姿や実現方法など、その対象には時間と空間の拡がりがあります。
住まい教育で大切なことは、一人一人の「住まい観」をどうやって育んでいくかだと思います。とりわけ高齢期における住まい教育は、人生の終盤をどこで、誰と、どのように暮らしていくかについて、考え実践することへの支援だと捉えています。そこでは相続が避けられない問題であるため、家族関係も重要になります。また心身の変化が顕著に表れる時期でもあり、住宅という不動産の問題に留まらず、福祉介護分野もカバーしなければありません。長い老後を経済的にどのように乗り切るかという点で、時間軸におけるマネー問題も欠かせない要素です。
まずは自らの住まい観を整理することがスタートです。その次に必要な知識や情報の習得です。これらを元気で時間に余裕があるうちから始めるのがベストです。そして、他の方と一緒に住まいの終活を学ぶ機会があれば、その方々の住まい観に耳を傾けることも参考になるかもしれません。もちろん、決めるのは本人自身であるのは当然ですが。
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