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漆喰の壁のデメリットと、業者に依頼する際の注意点

2016年10月8日 公開 / 2021年1月4日更新

テーマ:漆喰の壁

コラムカテゴリ:住宅・建物

漆喰壁には、撥水性の悪さ、消えないキズ、工期が長め、といったデメリットがあります。

漆喰を施工できる左官の数は不足気味ですが、漆喰見直しの機運が高まっており、左官業には追い風となっています。

要望を咀嚼して、適切な施工ができる漆喰左官を使う、格安業者には気をつけるといった、施主側の注意も必要です。

漆喰の壁のデメリット

前回は漆喰壁のメリットをメインに取り上げましたが、今回はデメリットについて触れます。デメリットとして、以下の事項が挙げられます。

●撥水性の悪さ
調湿機能に優れるということは、逆に言いますと、撥水せずに水分を吸い込みやすい性質があるということになります。

例えば、コーヒーや乳飲料などのドリンク類を壁にはねかけてしまった場合、漆喰壁は吸い込もうとします。そして、あとには色が残ってしまいます。

そうならないよう、ドリンク類をこぼしたら、すぐに水で濡らした布を使って、軽く叩く感じで拭き取ってください。これでも色が染みついてしまったら、サンドペーパーなどで表面を削る、あるいは薄めた漆喰を上塗りするという方法があります。

●キズは消えません
漆喰は、硬度のある石灰岩と同じようなもので、家具の金具などで強くこすったりして傷つけてしまったら、傷跡は残り、自然に消えるということはありません。

ですが、いくつかのメーカーから漆喰壁のキズを目立たなくさせる補修材が出ていますので、それを使うとよいでしょう。キズが何カ所かあれば、リフォームの際にプロに補修してもらうのもよいでしょう。

●工期
その日のうちに終わるクロス張りと違い、漆喰は厚みをもたせた塗りが必要で、乾燥待ちもあります。養生したのち、1回目の塗り→乾燥待ち→2回目の塗り、というふうに複数の工程があります。面積にもよりますが、乾燥しにくい冬期に1人の職人で施工した場合、数日かかることを想定してください。

●施工時のにおい
細かいことですが、完全天然素材であっても漆喰は塗った時ににおいが発生します。これは、成分の糊料(煮た海藻)のにおいで、人によっては気になるかもしれません。

海藻の代わりに、食品のゲル化・増粘剤に使われるメチルセルロースを糊料とした漆喰もあり、この場合はにおいはなくなります。

漆喰そのものはにおいを発することはほとんどなく、むしろ消臭作用があるので、施工後しばらく経った漆喰壁は、においについては心配する必要はないと思います。

●ヘアークラック
漆喰壁は、伸縮性のない硬い壁なので外的な力が加わることで、かすかなクラックが入ることがあります。髪の毛のように細いので、ヘアークラックと言うのですが、これは完全に予防することは難しいです。

ただ、漆喰の粉をすりこむ要領で補修することで、ほとんど目立たなくなります。

不足する左官

これは漆喰そのもののデメリットではないですが、漆喰を施工できる左官が少ないことが、漆喰の普及に影を落としているという一面があります。

バブル時代の住宅需要が大きく伸びたときに左官の人手が不足したため、住宅メーカーは、左官を必要としない施工法を推進しました。

そのため左官の需要も賃金も減り続けました。絶対数で見れば、左官は全国で数万人の規模でいます。社員が数十~数百人の会社では、ビル建築時のコンクリート補正に左官の出番が回ってきます。

こういった業者は漆喰を扱った経験は乏しいのが現状です。

一部の「カリスマ左官」や地域密着の少人数でやっている業者が漆喰施工の経験を積んでいます。

言い換えれば、漆喰施工のできる左官は不足しており、それが漆喰を含め、自然素材の施工を希望する施主様のニーズをカバーできていない現状があります。
ただ、政府などで漆喰見直しの機運が高まっており、左官業には追い風となっているのは事実です。

漆喰塗りを内装業者・左官に発注する際の留意点

多くの左官業者は少人数体制であることと関係していますが、技量レベルや得意な範囲というのが一定していないと思います。

施主さまの要望やこだわりを、きちんと理解・咀嚼し、施工に反映できる職人でなければ、後悔することにもなりかねません。
また、費用についても業者によってばらつきが大きいのがこの分野の特徴です。基本的に材料費は安いほうだと思いますが、施工に熟練と手間暇を要し、ビニールクロスよりは割高にはなります。

むしろ、変に安い業者には注意すべきかもしれません。格安業者は、施工がつたないか、塗り厚が薄いのかもしれません。

漆喰がしっかりとした機能を発揮するには、塗り厚が3mm必要です(外壁だと最低7mm)。これよりも薄く塗る業者は問題です。

幻の漆喰について

前回のコラムで紹介した、当社が採用している「幻の漆喰」には、「今後の左官職人不足にも対応できるよう、塗りやすく仕上げている」という利点があります。

そして、当社が起用する職人は、みな精鋭ぞろいでクオリティについても自信を持っています。「漆喰で壁を造ってほしい」というご要望があれば、ぜひサンオリエントまでご用命ください。

この記事を書いたプロ

磯﨑慎一

コンクリート住宅の事ならおまかせ!RC住宅のプロ

磯﨑慎一(株式会社サンオリエント)

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