コラム
契約書と録画録音
2022年12月22日
1.危険な条項多し
2019年(令和元年)5月17日付けの日本経済新聞に、最近、契約書の中に相手方企業がチェックしきれないような抜け穴条項を設け、相手方企業の技術を合法的に奪う事例も出てきた、との記事が書かれていた。
The law helps those who help themselves.(法は、自ら助くる者を助く)のであるから、企業の法務担当者は、蛇の如く賢くなければならない。
その賢く対処する一例を紹介したい。
2.録画録音を!
新たな取引を始める場合、通例、取引内容を詰めていく会話が先行するはずだ。
そして合意に達した時は契約書の作成ということになるが、その契約書の内容が確定した時は、それまでになされた会話の内容を要約してこれを質疑応答式に整理した上で、録画録音することを勧めたい。
それをすると、その過程で更なる質問事項も出てくるので、それについても質疑応答がなされること必定となり、結果的には、より内容の濃い契約書ができること請け負いだ。
これができると、トラブル発生の危険性は激減するであろう。
3.法を知った者か弁護士にも参加させること
録画録音をするための質疑応答は、①契約内容を履行する、あるいは相手方企業のする契約の履行を監視する立場の社員のほかに、②法を知っている者にさせる必要がある。法を知っている者としては、弁護士もその候補者に挙げるべきである。
弁護士が、契約交渉段階から立ち会う慣習は、外資系の会社に多いが、我が国の企業法務にも、積極的にそのような慣習を作り上げる必要があると思う。
重要な契約、金額が張る契約、新規の取引先との最初の契約などでは特にそうだ。
弁護士は、多くの訴訟事件を扱ってきているので、紛争の原因となるところ、その解決指針の立て方など、他の人と比べて、一日の長がある。
だから、弁護士の活用は、極めて有効だと考えるのである。
関連するコラム
- 第2章 パワハラ防止体制の構築 2022-11-17
- 契約実務の勘所 ー 「居抜き」と「原状回復費用」に関する一例 2022-12-12
- 第3章の勘所の2 法令用語を使うこと 2022-11-26
- 第3章 契約書のチェック・作成 勘所の1 契約内容の“見える化” 2022-11-25
- 第1章の6 本章のまとめ 2022-10-27
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。