第1章の5-2 企業内研修の要あり
第2節 リスク管理の勘所は“見える化”にあり
リスク管理システム整備の勘所は、会社の業務の流れを、経営陣が、細部まで見えるようにすること、言葉を変えて言えば“見える化”することである。
それをすると、リスク管理は随分し易くなる。
工事完成基準と工事進行基準の違い
ここで、余談を入れる。
建設業における会計処理に、工事完成基準(工事完了後の引き渡し時に収益と費用を認識する会計処理)と工事進行基準(工事の進行途中でも、任意で設けたチェックポイントごとに収益と費用を認識する会計処理)がある。
通常の会計処理では、売上は実現主義、費用は発生主義が原則であるが、建設業では工事が長期にわたることから、工事進行基準で会計処理をすることも許されている。
このことはリスク管理システムの整備とは何の関係もないが、潜在的リスクを“見える化”するための方法として、工事進行基準の考え方を、リスク管理システムの整備に導入するのがよいのではないかと考えて、ここに書く。
つまり、工事完成基準では、会計処理をチェックしても、工事期間中の工事の進捗過程を見ることはできない。
しかし、工事進行基準では、工事がいくら長期になろうが、任意で設けたチェックポイントごとに、工事の進捗状況が見えるからである。
リスク管理システムも、企業の業務の流れを“見える化”して、初めてその整備の緒に就くことができるのではないかと考えるのである。