敗れ続けているのか?日本の企業法務は
4 インターネット検索
インターネットの検索も、法律問題の回答になることが、実に多い。
各省庁や自治体が発する情報は、最新の法令の制定、改正、その背景などが、詳細に解説されているので、有益である。
【 一例紹介 】
近年の日本を襲った自然災害は、各地に甚大な被害をもたらした。
その被害は、市街化調整区域に集中した。
都市計画法では、市街化調整区域であっても、個人が自宅の建築を可能とする、いわゆる50戸連たん制度というものを設けているが、はしなくも、自然災害の多発によりその脆弱性が露呈したのである。
そこで政府は、2020年に都市計画法を改正して、「災害ハザードエリア」という区域を設け、ここでは、50戸連たん制度を適用できないことにした。
要は、建物の建築を禁ずるエリヤを新設したのだ。
そして、「災害ハザードエリア」の指定や範囲は、各自治体が、その判断で、条例改正によって定めるところに委ねた。
なお、この改正法の施行日は2022年4月1日からとされた。
その後、各自治体は、この法の改正を受けて、2021年12月までに条例を改正し、「災害ハザードエリア」を決めていった。
倉敷市など、2018年に襲った西日本豪雨の経験を踏まえ、市街化調整区域全部を「災害ハザードエリア」にしたほどだ。
その上で各自治体は、インターネットを通じて、そのことを広報し、2022年3月31日までに開発許可申請が受理された者は、4月1日以降であっても、今までどおり50戸連たん地域での建築はできるが、改正都市計画法の施行日である4月1日以降に開発許可申請をした人は、改正法で新設された「災害ハザードエリア」では家を建てることができなくなる、との注意を与えた。
この影響は大きく、岡山市では、50戸連たん制度を利用した開発許可申請の受理件数は、2019年(令和元年)度は270件台、2020年(令和2年)度が280件台だったのに、2021年度(令和3年度:2021年4月1日から2022年3月31日まで)は470件台に急増した。
岡山市開発指導課の担当者の言によれば、これは改正法と改正条例の施行日前の駆け込み需要による急増だろうとのこと。
このように、インターネットによる広報の効果は大きく、この制度改正を逸早く知った建設業者の中では、ビジネスチャンスと捉えた向きもあったかもしれない。
会社法務に関係する人たちは、アンテナ高く、かつ、目を皿にして、常に法令の改廃の様を、インターネットで検索するのもよいと思う。