第2章の1-2 リスク管理は親会社の取締役にも責任及ぶ
グレーゾンーン解消制度の利用は、第2の法律相談である。
この制度は、「我が国の産業を中長期にわたる低迷の状態から脱却させる」目的(第1条)で、2014年(平成26年)1月20日に施行された「産業競争力強化法」の中にある制度だ。
この中にある「グレーゾーン解消制度」は、法律相談に対し政府が直接回答するものなので、回答に絶対的な信用が置けるもの。
企業が、新しい事業を始めたいと考えた場合、最初にぶつかるのは、その事業をすることが法的に許されるかどうかという問題である。
そのときに、間違いのない回答を与えてくれるのが、この制度である。
インターネットで「グレーゾーン解消制度」と入力すれば、この制度の利用(質問と回答)事例の多くが発見できる。
一例を挙げる 眠れる宝を発掘する新しいビジネスの発見事例として。
企業が持つ「顧客」を金の卵を産む鶏にし、顧客にも喜んでもらえる商法を可能だとする回答例として、次の事例がある。
今般、事業者より、顧客に不動産業者の会社情報を提供し、顧客と不動産業者が希望する場合には両者の面談に同席し、売買契約が成立した場合に不動産業者から顧客情報提供の手数料を収受する行為が、宅地建物取引業法第2条第2号に規定する「宅地建物取引業」に該当するか否か照会がありました。経済産業省と国土交通省が検討を行った結果、照会のあった事業においては、物件の説明、契約成立に向けた取引条件の交渉・調整等の行為は、顧客と不動産業者との間で直接行い、事業者は一切関与しないとされており、「宅地建物取引業」 には該当しない旨の回答を行いました。これにより、一層の企業経済活動の拡大に繋がると期待されます。(平成28年6月15日経済産業省より)
小売業者をはじめ事業者には、多数の優良顧客の層がある。その顧客に無償で利益を与え、かつ、事業者も利益を得る一挙両得のビジネスは、案外多いのではないかと思える。
この制度は、大いに活用すべきである。