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市街化調整区域における建築制限と50戸連たん制度

2022年8月15日

テーマ:建築

コラムカテゴリ:法律関連

市街化調整区域における建築制限と50戸連たん制度
1.開発行為
市街化調整区域で建物を建築することができるか?
建物を建築するには、開発行為すなわち「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」(都市計画法4条12号)をする必要があります。
そして、市街化調整区域で開発行為をするには、同法29条1項に基づく開発許可申請をし、許可を得る必要があります。
その開発許可の申請には、都市計画法34条1項各号いずれかの理由が要ります。
 その各号で列記されている事項とは、
 1号 周辺地域に居住している者の利用に供する公益上必要な建築物又は物品の販売、その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為
 2号 鉱物資源、観光資源その他の資源の有効な利用上必要な建築物又は第一種特定工作物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
 3号 温度、湿度、空気等について特別の条件を必要とする政令で定める事業の用に供する建築物又は第一種特定工作物
 4号 農業、林業若しくは漁業の用に供する建築物・・・農産物、林産物若しくは水産物の処理、貯蔵若しくは加工に必要な建築物等建設の用に供する目的で行う開発行為
 5号 農林業等活性化基盤施設である建築物の建築の用に供するために開発行為
 6号 中小企業の集積の活性化に寄与する事業の用に供する建築物等の用に供する目的で行う開発行為
 7号 現に工業の用に供されている工場施設における事業と密接な関連を有する事業の用に供する目的で行う開発行為
 8号 危険物の貯蔵又は処理に供する建築物等の建築の用に供する目的で行う開発行為
 8号の2 災害危険区域等に存する建築物又は第一種特定工作物に代わるべき建築物等の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
 9号 そのほか市街化区域内において建築し、又は建設することが困難又は不適当なものとして政令で定める建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
 10号 地区整備計画又は集落地区整備計画が定められている区域内において、当該地区計画等適合する建築物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
11号 市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね50以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、都道府県(指定都市等、当該指定都市等)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為
12号 都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの
13号 市街化調整区域が拡張された際、土地又は土地の利用に関する所有権以外の権利を有していた者で、当該都市計画の決定又は変更の日から起算して6月以内に都道府県知事に届け出たものが行う開発行為
14号 前各号に掲げるもののほか、都道府県知事が開発審査会の議を経て、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為
の15項目です。

2.50戸連たん制度
この中の11号が、いわゆる50戸連たん制度と言われます。
50戸連たん制度の中味は、条例で明らかにされますが、岡山市の場合、「岡山市開発行為の許可基準等に関する条例」4条で、「自己の居住に供する建築物」に限って、50戸連たん制度が適用になります。
ここで「自己の居住に供する建築物」とは、同条例2条2項1号で「開発行為をしようとする個人が、自らの生活の本拠として建築し、所有し、及び継続的に使用する建築物をいう。」と定義付けられています。

ただし、この50戸連たん制度は、市街化調整区域ならどこでも利用できるというものではありません。
倉敷市など、市街化調整区域全地域で、令和4年4月1日以降は、この制度の適用をしないことにしているのです。
本来、市街化調整区域というのは「市街化を抑制すべき区域」ですので、そこで建物を建てることには、大いなる規制がかかっているのです。
市街化調整区域で、自宅を建てたいと考える人は、行政側とよく相談する必要です。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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