終わりの始まりの日とデュー・プロセス・オブ・ロー
2022年(令和4年)4月1日、2020年に改正された都市計画法が、施行された。
これにより、全国的に、市街化調整区域での、自己用住宅の建築は難しくなった。
それは、近年になって我が国土を襲い、これからも襲うであろう水害に備えた都市造りをするためだ。
例えば、岡山県倉敷市だが、ここでは全面的に、市街化調整区域での自宅の建築は許されないことになった。
これは、2018年7月に倉敷市を襲った豪雨の影響による。
つまり、市街化調整区域は、市街化を抑制する区域であるので、排水路その他のインフラが十分とは言いがたい区域もあるだろう。
そんな区域に家を建てることを許しては、またしても水害襲来となったときは、目も当てられないことになる、という心配をしたからだ。
なお、ここで、市街化調整区域制度について説明しておこう。
都市計画法には、「市街化区域」と「市街化調整区域」が定められている。
市街化区域とは、「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とされている。
一方、「市街化調整区域」とは、「市街化を抑制すべき区域」とされている。
ところで、市街化調整区域であっても、市街化区域から住宅が50戸、一定の距離以内につながっているところでは、開発許可を受ければ住宅の建築は可能であり(これを「50戸連たん制度」という。)、開発許可は原則として出されるのだが、今般の改正都市計画法は、行政側が「災害リスクの高い区域」として指定した場所では、50戸連たん制度を認めないことにしたのだ。
リモートワークが広く認められ、通勤の煩わしさから解放された人にとって、都塵を離れた広い土地、緑豊かな田園生活、を満喫するにはうってつけの50戸連たん制度も、水害に遭えば悲惨な目に遭うことを考えると、今次の都市計画法の改正は、国民の福祉に寄与すること大なるものあり、と言えるだろう。
ちなみに、今次の都市計画法の改正理由として、岡山市では「市街化調整区域では、50戸連たん制度により、自己用住宅等一定の開発を許容することによって地域の特性に応じた土地利用を誘導してまいりましたが、・・・(今次の都市計画法の改正で)・・・市街化調整区域での無秩序な開発を抑制することになりました。」と広報している。