コラム
解雇理由を雇用者のみの判断で認定できると定める規定は、無効
2022年5月10日
1.解雇理由を雇用者のみの判断で認定できると定める規定は、無効
(理由)
雇用契約法第16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定しております。
また、第17条第1項には、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と規定しています。
ここから、解雇には、①解雇理由の合理性、②「当該解雇の社会通念上の相当性、及び、③有期雇用契約ではこれに加えて「やむを得ない事由」が必要になります。
①の解雇理由の合理性は、雇用契約書や就業規則の記載から判断されますが、多くの場合、合理性が認められるものになっておりますので、これが問題とされることはありません。
しかしながら、
②の「当該解雇の社会通念上の相当性」と③の有期雇用契約の中途解雇に要求される「やむを得ない事由があること」の判断は、裁判所がすることになります。雇用主が判断できるものではないのです。
ですから、①の要件は満たしていても、その解雇理由の判断権が、雇用主にのみにあると定めた雇用契約や就業規則の規定は無効になるのです。
例えば、
第○○条 雇用主が従業員に下記の理由があると判断した場合は、雇用契約の途中であっても、解雇できるものとする。
という規定は、無効になるのです。
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