下請法の趣旨と内容
バーチャルオンリー株主総会(場所の定めのない株主総会)の解禁―
2021年6月16日に公布・施行された産業競争力強化法の改正法で、上場会社に限って、バーチャルオンリー株主総会(場所の定めのない株主総会)の開催が解禁されました。
それまでは、株主総会はリアルの場所を定めて開催するものとされていましたので、一部の株主だけは出席する、いわゆるハイブリッド型バーチャル総会しか認められなかったのです。
(1)バーチャルオンリー株主総会の開催ができる会社を上場会社に限った理由
この総会の開催を上場会社に限ったのは、バーチャルオンリー株主総会において、
①「なりすまし」の問題(本人確認の問題)が生じない措置がとれ、
②サイバー攻撃のあることも想定したセキュリティ対策がとれ、
③これら新しいシステムに対応した人材の養成ができ、
④新しい機器の整備もできる
会社でなければならないからです。
(2)アメリカその他の国ではどうか?
すでにアメリカでは、コロナの影響もあって、ほとんどの州で、また、イギリスやドイツでも、上場会社に限らず、バーチャルオンリー株主総会の開催が認められています。
ですから、日本でも、やがては少なくとも大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の株式会社)にも、このバーチャルオンリー株主総会の開催が認められることになる(次の改正法で)と思われます。
3.メリット
バーチャルオンリー株主総会の開催のメリットは、
②遠隔地の株主を含む多くの株主が出席しやすいこと、
②会場の確保が不要になり、会場の運営コストの削減を図ることができること、
③株主や取締役等が一堂に会する必要がなく感染症等のリスクの低減を図ることができること、
④株主が、株主総会の集中日等で株主総会が重なっていても、複数の会社の株主総会に出席・参加することが可能になること
などがあります。
4.手続要件
バーチャルオンリー株主総会を開催するには、
① 経済産業大臣及び法務大臣の「確認」を受けなければなりません。
② その前に、株主総会を「場所の定めのない株主総会」とすることができる旨の定款変更をしなければなりません。ただし、施行日(2021年6月16日)から2年間は、①の「確認」を受けた上場会社については、定款変更がなされたものとみなされることになっています。
5.新しいビジネスモデルの誕生
4の①の「確認」を得るには、難しい要件がありますので、最近、この「確認」手続業務を受託する会社が現われるようになりました(日経新聞2021/2/5「オンライン総会運営まるごと受託―三菱UFJ信託、年内100社提供―」)。