従業員との間の競業避止契約は、代償措置がとられていないと、無効
アメリカの機関投資家が、日本の政府および上場会社に要求することは、概略、次のものです。
1.会社の組織(機関設計)を指名委員会等設置会社にすること
すなわち、取締役会内に、社外取締役を過半数置いた3委員会を設け、監査役会を廃止すること。
すなわち、3委員会とは、
(1)指名委員会
役割:取締役と執行役の選・解任案を株主総会に提出する権限を持つ
効果:代表取締役には、そのような権限は与えない。その結果、会社経営陣の人事権は、社外取締役に握られる。
(2)報酬委員会
役割:取締役と執行役の報酬を決める権限を持つ
効果:代表取締役には、そのような権限は与えない。その結果、会社経営陣の報酬決定権は、社外取締役に握られる。
(2)監査委員会
役割:違法性監査と妥当性監査をする権限を持つ
効果:会社経営に関するあらゆる問題につき、社外取締役が口出しできる。
対比:監査役会設置会社では、違法性監査しかできないので、違法ではない問題については、社外監査役といえども口出しできない。
2.いわゆる政策保有株式を放出すること
意味と理由:いわゆる政策保有株式とは、持ち合い株のこと。A社がB社の株を持ち、B社がA社の株を持ち、いずれかの会社が第三者から敵対的買収の対象にされたとき、株主総会で、それを阻止するために議決権を行使することを、暗黙の内に合意した株の持ち合いのこと。
効果:敵対的M&Aに対し、白馬の騎士(経営陣を守ってくれる与党株主)がいなくなると、経営陣は緊張感をもった会社経営に専念することが期待できる。
3.増配
意味:増配とは、配当を増やす意味であるが、ここでいう増配は、それだけでなく配当は利益に見合ったものにすることを通して、株主に会社の業績を見えやすくする意味を含む。
効果:配当性向重視の会社が増え、経営陣は、利益をあげるため、経営努力をする。成果を挙げ得ない経営者は、解任ないし再任拒否されることになる。
4.経営陣の報酬に、業績連動型のインセンティブ報酬を採用すること
効果:経営陣は、利益をあげるため、経営努力をする。成果を挙げ得ない経営者は、解任ないし再任拒否されることになる。
5.労働慣行を変えること
意味:年功序列型賃金制の慣行を廃して、能力給・職務給を採用すること
効果:社員の勤労意欲を高め、会社の業績向上に寄与する。