コラム
2021/06/16 東芝を追い詰めた、利剣
2021年6月17日
2021/06/16 東芝を追い詰めた、利剣
今般の東芝事件で、東芝を追い詰め、一部の社外取締役(監査委員長ほか1名の監査委員)を、6月25日の株主総会での候補者から外してしまった利剣(鋭利なつるぎ)は、会社法第316条の「株主総会に提出された資料等の調査権」である。
同条の第1項は、「株主総会においては、その決議によって、取締役、会計参与、監査役、監査役会及び会計監査人が当該株主総会に提出し、又は提供した資料を調査する者を選任することができる。」と規定され、
2項は、「第297条の規定により招集された株主総会においては、その決議によって、株式会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任することができる。」と規定されている。
物言う株主が使ったのは、この2項の規定である。
すなわち、物言う株主は、会社法第297条に基づき、東芝に臨時総会の開催を請求し、その席で、過半数の株主の賛成を得て、「株式会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任」したのである。
その選任された調査者である弁護士たちがした調査は、52万通のメール文、25万通の添付書類に及んだというのであるから、東芝が第三者には分からないと思っていたであろうことまで、全て白日の下に晒してしまったのだ。
これが利権の鋭さである。
いな、この利権の鋭さは、それだけではない。経産省と東芝の馴れ合い的な姿までえぐり出したのだ。
この利剣の鋭さと効果が分かったことを通して、我が国の会社法の評価は高まったようだ。
この利剣の鋭さと効果が分かったことを通して、上場会社も、法の遵守に努めるようになることが期待できる。
関連するコラム
- 2021/06/23 ガバナー年度が終わるに当たり 2021-06-23
- 2020/08/03 百万石をつかみ取り、手放さなかった賢女 2020-08-03
- 2021/02/10 美作RCへの公式訪問が決まる 2021-02-10
- 2021/01/18 2021年を占う 10 ベンチャー企業が激増する 2021-01-18
- 2020/10/12 ガバナーとして竣工記念に招かれる 2020-10-12
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。