コラム
2021/06/13 独立社外取締役に求められる適性
2021年6月14日
2021/06/13 独立社外取締役に求められる適性
1.改訂版コーポレートガバナンス・コードの中の言葉
2021年6月11日、東証は、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を改定した。
その中で、同コードは、取締役と社外取締役に求められる適性について、
①「経営戦略に照らして取締役会が備えるべきスキル(知識・経験・能力)と各取締役のスキルとの対応関係の公表」、
②「他社での経営経験を有する経営人材の独立社外取締役への選任」、
③「企業の中核人材における多様性の確保」、
④「管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標の設定」
という言葉を使い、独立社外取締役に求められる適性を明確にした。
それは、「会社の経営戦略を果たす上のスキル(知識・経験・能力)も持っていること」である。
2.東芝に対してなされた「総会提出資料調査」結果の影響
東芝がした2020年7月の定時株主総会の運営についての第三者委員会の調査(ただしくは総会提出資料調査)結果(2021/06/10付け)が出たあと、東芝の社外取締役4名が、2021年の定時株主総会での取締役選任議案に異議を言い始めた。
本日付の日経新聞によれば、問題にされたのは、監査委員会のこれまでの態度だ。
監査委員会は、去年の定時株主総会は「問題なし」と結論づけたが、第三者委員会の結論は「問題あり」を抉り出したからだ。
なお、ここでいう第三者委員会の調査というのは、普通の第三者委員会とは違って、会社法316条「総会提出資料調査権」に基づく、強権をもって臨める実効性の高い調査のことである。
今回の調査では、52万件以上のメールと25万件以上の添付ファイルを、専用ソフト(人工知能AIを使ったデジタルフォレンジックと呼ばれる分析技術。キーワードから関連文書をスクリーニングするだけでなく、前後の文脈からも判断し重要度に応じた点数もつけてくれるソフト)で解析したものだけに、エビデンスに裏付けられた客観性、透明性、論理性を高くもったものと評しうる。
なお、本日のこの新聞報道の後、東芝は、取締役会を開き、監査委員長と監査委員の取締役1名合計2名が、取締役候補から外されたとテレビが報じていた。
3.他の上場会社も、他山の石とすべきこと
上場会社は、一昨日(2021/06/11)東証がコーポレートガバナンス・コードを改定したことにより、これから益々、欧米並みのコーポレートガバナンスの構築が求められるようになるであろう。
であるから、今後、上場会社は、東芝事件を他山の石として、虚偽、隠蔽を排除し、また、適任ではない人物を社外取締役にする愚を犯さないことが求められるであろう。
そうでないと、いわゆる物言う株主に、格好の攻撃材料を与えることになるであろうから。
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