コラム
2021/03/25 大企業の傲慢か?はたまた不正行為の隠蔽か?
2021年3月26日 公開 / 2021年3月31日更新
2021/03/25 大企業の傲慢か?はたまた不正行為の隠蔽か?
東芝は、昨年の定時株主総会で不正があった(具体的には、一部の株主の議決行使書を無効だと扱ったこと)とされ、株主総会後、物言う株主より、第三者委員会を設置して不正の有無を調査するよう求められたが、東芝内の監査委員会で調査をしたが不正はなかったとの理由で、その要求を拒否した。
そのため、物言う株主二社は、それぞれ東芝に対し、不正の有無を調査するための第三者委員会を設置することを決める、臨時株主総会の招集を請求した。
そして、先日、臨時総会が開かれ、株主の提案が可決された。
これにより、今後、東芝は、第三者委員会を設置して、不正の有無を調査させることになる。
私が不思議に思うのは、何故、東芝は、物言う株主より、第三者委員会を設置して不正の有無を調査するよう求められた時点で、第三者委員会の設置を拒否したのか?という点である。
物言う株主が、東芝に求めたことは、株主の権利(議決権)の行使を無効扱いにした東芝の行為に「不正」がなかったかどうかということである。
事は、株式会社制度の根幹をなす株主の議決権の行使にかかる極めて重要な問題だ。
それであるから、東芝は、不正をしていないと胸を張って言うだけの自信があろうが、なかろうが、疑いを払拭する意味からも、第三者委員会を設置して、不正の有無を調査してもらうべきではなかったのか?
それを、東芝(の経営陣)は、“俺が不正なことをしていないと言うのだから、不正はないのだ”というに似た態度で、株主の要求を拒否した。
ここに傲慢はなかったといえるのか?
それとも、物言う株主の言うような、株主の議決権行使書を無効にする不正行為をしていたので、それが暴露されることを恐れて第三者委員会を設置しなかったのか?
東芝は、数年前、監査法人も巻き込む粉飾決算をし、倒産の危機に陥った過去がある。
その体質は、今も残っているのか?
まことに、今回の東芝のしたことは、資本主義、すなわち株式会社制度の根幹に関わる問題だけに、理解ができない。
【追記2021/03/31】
この件で、恐らく弁護士の意見と思うが、次のような意見があったようだ。
すなわち、今後、第三者委員会が調査をして、東芝がした株主の議決権行使を無効と扱った行為が、不正なものであったとの結論を出したとしても、去年の株主総会の決議を取り消す訴訟は、出訴期間が経過しているので、起こせない、という意見だ。
しかし、この意見は、甘い。
もし、第三者委員会が、東芝のした行為が不正や違法だと結論付けた場合、恐らく、物言う株主は、現経営陣全員の解任を求めて臨時株主総会の開催を請求するのではなかろうか?
この問題は、株主総会の手続違反という小さな問題とは思えないからだ。
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