2020/12/10 環境と多様性について
2021/02/26 複眼的思考を身に付けるべし
人や物事には多面性があり、一面だけを見る“単眼的思考”は、斯界のリーダーたるロータリアンにはふさわしくない。
月刊誌「PRESIDEENT」(2021.3.19号)84pに掲載されている飯島勲氏の「リーダーの掟285」は、人を見る場合複眼的思考が必要だといっているようであり、ロータリアンに一読の価値があるものとして推奨したい。
すなわち、飯島氏は、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長のことを取り上げられた。
飯島氏は、森さんが女性蔑視的発言でそれまでの人生すべてを否定されるようなバッシングを受けたが、森さんの功績を知らない人が多いのではないかと前置きして、森さんの功績を取り上げられているのだ。
その功績の一つに、選手村の建設が民間資金の活用によって出来上がったので、東京都民の血税はほとんど使われていない事実を挙げられている。すなわち、選手村は約Ⅰ万5000人の参加選手の宿泊施設となるマンション群だが、このマンション群はベイエリアのタワーマンションであることから、事前の販売では数十倍の抽選になる部屋も出るほど人気化し、これを建設した当時の都知事であった桝添要一氏も、ツイッターで「競技施設建設費を数千億円節約できたのは森氏のおかげだ」と言っているほど、森さんの功績は大きいと言われるのだ。
2019年のラグビーのワールドカップが、過去に一度も決勝トーナメントに進出したことのない日本でできたのは、森さんの熱意と人脈があったからであるなども書かれている。
そして、何よりも、私が特に重要だと思ったことは、森さんが女性登用を真剣に考えてきた政治家だという点である。森政権時代に、川口順子氏を環境庁長官に、扇千景氏を建設大臣兼国土庁長官にしたのも森さんだったということだ。その後の小泉内閣のときも女性の大臣をという希望を関係者に伝えていたこともあったらしい。
このような森さんの実績や人格には、敬意や親しみをもつ人が多いと思われる。
であるから、彼の人生を全否定するようなバッシングがあったとすれば、たしかによくない。
しかし、森さんは、東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長としての顔があり、地位があったのだから、その発言が、仮に笑いを取るための軽口のつもりであったとしても、その顔や地位にふさわしいものでなかったことも事実である。
であるから、森さんに対しては、功績は功績として評価してあげた上で、辞任もまた潔い立派な行動として評価してあげるべきだと思う。
私は、これまでの森さんのご苦労と功績に対し、感謝の意を表して、ご苦労さまでしたと言いたい。