ポレートガバナンス・コード改革が動き始めた② 代表取締役の解職をクーデターというのは、昔の話
顧問と役員の兼任
会社の顧問(産業医)をしてもらっている人物を、会社の役員(監査役)でできるか?
できます。学校法人の場合は、どうか?
1.会社の場合
会社法335条2項は,「監査役は,株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人・・・を兼ねることができない。」と規定しています。
使用人とは,会社の指揮命令に服する関係にあるものをいいます(「会社法[第19版]」神田秀樹著/株式会社弘文堂)。
産業医は、医学の専門的知見から会社なり学校法人に対し助言を行うのみであり,会社などの指揮命令に服して勤務することはないと考えられます。したがって,産業医は「その他の使用人」には該当しないと考えられます。
なお,参考判例として,最高裁昭和61年2月18日判決は,監査役と使用人の兼任禁止規定は,弁護士の資格を有する監査役が,会社と株主間の訴訟につき会社の訴訟代理人となることまでを禁止するものではないと判断しています。この判例を参考にすると,弁護士同様,強力な職業倫理に裏打ちされた特殊な職能と責任をもち,専門的知見から判断を行う医師が監事と顧問を兼任することは,禁止されないと考えられます。
したがって,産業医が会社の監事と貴社の顧問を兼任することは,会社法335条2項にも違反しないと考えられます。
2,学校法人の場合
私立学校法39条は,「監事は,理事,評議員又は学校法人の職員と兼ねてはならない。」と規定しています。
貴社の顧問(産業医)は,「学校法人の理事,評議員,職員」のいずれにも該当しません。したがって,監事と顧問を兼任することは,私立学校法39条に違反しません。