労働 減給処分における減給額の制限
東京地方裁判所令和 1年 5月30日判決は、
甲学校法人との間で期間の定めのある労働契約を締結して大学の非常勤講師をしているAと、
甲学校法人との間で期間の定めのない労働契約を締結している専任教員Bとの間には,
①本俸額について約3倍の差があり、
②甲学校法人は,大学の専任教員のみに対して賞与及び年度末手当を支給し、非常勤講師には支給していなかったとしても、
③甲学校法人の経営する大学の非常勤講師の賃金水準が他の大学と比較しても特に低いものであるということができず、
④大学の専任教員は授業を担当するのみならず,大学の財政状況に直結する学生募集や入学試験に関する業務を含む大学運営に関する幅広い業務を行い,これらの業務に伴う責任を負う立場にあること、
⑤さらには、④の業務に伴う責任を負う立場にある大学の専任教員として相応しい人材を安定的に確保するために,専任教員について福利厚生の面で手厚い処遇をすることに合理性がないとはいえないことから、
⑥AとBの賃金に関する労働条件の相違は、労働契約法第20条に規定する不合理と認められるものであるということはできないと判示しています。