会社法の歴史 1 はじめは「商法」であった 「商法」はドイツ法に倣ったものだった。そして、戦後・
三 所在不明株主の株式の競売等の制度
菊池:ねえ、後藤くん。所在不明の株主を、キャッシュ・アウトする方法もあるのかい?
後藤:会社法には、所在不明の株主の株式を、競売等によって買い取る制度があるよ。
菊池:その要件と手続きは?
後藤:これは、会社の株主名簿に登載されている株主に関して、①会社から発送される通知・催告が株主に5年間到達しなかったこと、及び、②その株主が継続して5年間、剰余金の配当を受領していないことの2要件だ。この要件を満たせば、その株式を競売にかけることができるのだ。この場合も所在不明の株主は、会社から締め出されるが、代わりの株主が生まれるので、本来の意味のキャッシュ・アウトとは性質が異なるがね。
菊池:競売にかけるとなると面倒だなあ。もっと簡単な方法はないのかい。
後藤:あるよ。競売に代えて、相場のある株式であれば相場価格で、相場のない株式については裁判所の許可を得て任意で売却することもできる方法があるのだ。その場合、公認会計士に頼んで、当該株式の価格がいくらくらいか鑑定書を作ってもらっておくと、スムーズにいくと思うよ。
菊池:その手続で、会社がその株式を買うこともできるのだね?
後藤:そうだよ。上場会社の株式でない場合は、簡単に買主が見つかるわけではないので、会社法は、会社が買い取ることを認めているよ(会社法197条3項)。
菊池:その場合の売却代金は、誰に支払うのだい?
後藤:無論、株主本人だが、株主が所在不明であると、供託することになるよ。
菊池:後の処置はどうするのだい?
後藤:会社が買えば会社を、別人が買えばその買主を、株主名簿上の株主に書き換えればいいよ。