コラム
キャッシュ・アウト(スクイーズ・アウト)
2019年9月11日
一 キャッシュ・アウト(スクイーズ・アウト)
1.言葉の意味・由来
菊池:ねえ、後藤くん。会社法の世界で、キャッシュ・アウトという言葉があるだろう。あれって、どんな意味なの?
後藤:キャッシュ・アウト(cash out)という用語は、会社や特別支配株主が、少数株主の株式を、現金を支払って、強制的に買い取る意味に使われているよ。この言葉には、現金(cash )が社外に出る(out)という語意があるからね。同時に、少数株主を会社から締め出す結果になることから、スクイーズ・アウト(squeeze out)ともいわれるよ。スクイーズ・アウトは、閉め出すという意味の語だからね。
菊池:ボクたちが学生時代に学んだ会社法(当時は「旧商法第2編」)では、合併するときの対価は、原則として合併存続会社の株式に限定されていたが、その後、合併対価は、現金で支払うこともできるようになったのだね。
後藤:そうだよ。平成17年に制定された会社法で、合併などの組織再編の対価は、現金その他の財産でもよいことにしたのだよ。もっとも、一部(新設合併、新設分割、株式移転)の場合は別だけどね。
2.合併対価の柔軟化と三角合併
菊池:そうか。合併対価は、合併した会社の株式だけでなく、現金その他の財産でもよいことになったので、「合併対価の柔軟化」という言葉が生まれたのだね。
後藤:そうだよ。合併対価の柔軟化に関しては「三角合併」という言葉も生まれたよ。その言葉の意味は、分かるかい?
菊池:分かるよ。三角合併とは、A社がB社を吸収合併するにあたって、B社の株主にA社の親会社であるC社の株式を交付することだろう。この合併の場合は、A社とB社とC社が関係しているので、模式図を描くとA点とB点とC点を頂点とするトライアングル(三角形)ができる。そこで、この合併方式を三角合併というようになったのだろう。
後藤:そのとおりだ。三角合併ができるようになって、アメリカの会社の日本子会社が、日本の上場会社を手に入れる手段に使うようになったよ。
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