監査等委員会設置会社が増えている理由
5.報酬委員会の権限に疑問
菊池:ねえ、後藤くん。指名委会社における指名委員会の役割と権限はよく理解できる。しかし、どうしても理解できないのは、報酬委員会の役割と権限だ。江頭さんの「株式会社法」第7版には、報酬委員会は、委員の全員が取締役で、その過半数は社外取締役であること、報酬委員会の権限は、取締役と執行役の個人別の報酬等(退職慰労金も含む)の内容を決定することだと書いてある。ということになると、報酬委員会のすることは利益相反行為になるのではないのかい?
後藤:利益相反行為というのは、報酬委員会は、自分たちの報酬も自由に決めることができるので、この点は株主利益に反するということかい?
菊池:そうだよ。
後藤:これまで、会社法は、会社と取締役の利益相反行為については、規制してきたが、取締役と株主の利益が相反する場面については、規制してこなかった。しかし、指名委会社における報酬委員会は、外部のコンサルタント等を利用して、合理的報酬システムを確立することを前提で、設けられているので、この合理的システムができ、正しく運用されれば、株主の利益は守られることになるよ。だから、指名委会社制度が、直ちに、株主利益に反するとはいえないよ。もっとも、運用いかんでは、お手盛りの疑念が生ずる可能性はあるだろうけどね。
取締役の報酬を決める機関お手盛りの可能性
監査役(会)設置会社株主総会制度上お手盛りの可能性はない
指名委員会等設置会社取締役会内の報酬委員会 制度上はお手盛りの疑念は残る