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8 日弁連千年の光と十有余年の闇
日弁連には、実に優秀な法律家が雲集し、わが国の司法制度の維持・発展に赫々たる業績を挙げている。
それは日弁連千年の光と称揚されてもよいほどの業績であるが、日弁連の会長名で発せられた遺言執行者観(日弁連・懲戒委員会の議決に基づく日弁連の裁決)という点景を見れば、そこだけは闇に覆われている。
平成13年の議決以来の闇である。その闇とは、遺言執行者を相続人の代理人だという、謬説が作り出した闇であることはいうまでもない。
しかし、今次の相続法の改正は、謬説の根拠を断った。
令和時代の相続法には、遺言執行者を相続人の代理人だと錯覚させる規定はなくなったのである。
これまで、日弁連・懲戒委員会は、わずか十数名の委員だけの多数決で、遺言執行者を相続人の代理人であるとの謬説をつくり信奉した。
また、全弁護士4万人から成る日弁連・総会決議を無視して、謬説、謬論を墨守し弁護士の懲戒を続けてきた。
しかし、今次の民法(相続法)改正は、国会決議による国民の総意である。
国民の総意は、遺言執行者は遺言執行をする者であり、遺言書によって不利益を受ける相続人の代理人ではない、と言っているのである。
これからも、弁護士は、遺言者の意思を実現するため、遺言執行者になるであろう。
また、遺言者の意思に添うべく、受遺相続人の代理人になって、遺言の効力を争う相続人らを相手に訴訟を行うであろう。
このような弁護士に対し、日弁連・懲戒委員会が、なお懲戒議決を続け、日弁連が懲戒裁決を続ける限り、前述のような遺言執行者実務の混乱は収まらない。
混乱が収まらないと、遺言制度そのものが崩壊の危機に瀕することになる。
しかし、優秀な法律家からなる日弁連・懲戒委員会のことだ。
今次の法律改正を見れば、これまでの遺言執行者観を捨てる決断がなされることと信じたい。