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遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで⑤

菊池捷男

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テーマ:令和時代の相続法

5 日弁連・懲戒委員会の遺言執行者観の整理

前回までに解説した日弁連・懲戒委員会の遺言執行者観を整理すると、次のようになる。
謬説は一つ。謬論は二方向に向かっている。

謬説
遺言執行者は相続人の代理人である。
謬説の元
民法1015条が「遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。」と規定しているからである。

ここから次の謬論が生まれた。
謬論の一
・遺言執行者(代理人)は、相続人(本人)と争ってはならない。
したがって、
遺留分権利者である相続人と争ってはならない(13年議決)。
遺言無効確認訴訟の原告となった相続人と争ってはならない(18年議決)。
相続人廃除の対象になった相続人と争ってはならない(21年議決)。

謬論の二
・遺言執行者(代理人)は、相続人(本人)の命令には従わなければならない。
したがって、
相続財産目録を作れと命じられれば作る義務がある(13年議決)。
遺産の調査を命じられれば、遺産を調査し報告する義務がある(18年議決)。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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