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中途解約を禁止した定期建物賃貸借契約における違約金裁判例

菊池捷男

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テーマ:不動産法(賃貸借編)

東京地裁平成25年7月19日判決は,定期建物賃貸借契約において、①借家人からの中途解約はできない、②解約をすれば残存期間分の賃料全額に相当する違約金を支払う、という特約付きの定期建物賃貸借契約を、賃借人から解約した事例で、

(1) 違約金は賠償額の予定と推定され(民法420条3項)・・・裁判所は,その額を増減することはできないのが原則である・・(民法420条1項)が、賃借人が建物を占有せず,したがって賃貸人が当該建物を新たな賃借人に賃貸して賃料を得られるのに,本件違約金条項により違約金として、本件賃貸借契約の賃貸借期間終了予定日までの賃料相当損害金の全額(本件においては,最大1億1520万円)を請求できるとする条項については,・・・一定の限度を超えると暴利行為として無効となる。
(2)無効になる金額は、一般に,・・・賃貸人が建物の占有を回復しつつ新たな賃借人を探して入居させる期間としては6か月程度を要するものと考えられること(この件は解約日から約5か月が経過した頃に新たな賃借人が入り原告は賃料を受領することになった)その他諸般の事情を考慮すると,本件賃貸借契約における賃貸借開始日から起算して上記6か月分の賃料相当額の5倍に当たる30か月分の賃料相当額(2880万円)を超える違約金額の請求は,明らかに過大であり,本件違約金条項の無効又は信義則違反に該当するものとして,許されないというべきである。
(3)この件では、違約金条項に基づく違約金として,上記2880万円から既払の保証金230万円及び既払の賃料1か月分96万円を控除した2554万円を請求することができるが,その余の違約金請求はこれを認めることができない。
と判示しています。

同類型の紛争は多いと思います。
これは参考になる裁判例ではないかと考えます。

なお、この判決がいう家賃30か月分の違約金というのは、残存期間のうちの30か月分ではなく、賃貸借契約開始の日から30か月分を意味しています。それは結論としての(3)を見れば明らかです。

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菊池捷男(弁護士)

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