コラム
境界確定と筆界特定は、どう違う?
2019年3月16日 公開 / 2019年4月11日更新
(1) 境界確定
境界確定とは、境界確定訴訟で、裁判所が境界を定めることをいいます。
境界確定判決が確定しますと、その境界が法律上の境界になり、当事者はそれを争うことはできなくなるという効果(既判力)が生じます。
また、この訴訟は、裁判所が、真実の境界はどこかが分からなくとも、境界を定める判決をしなければならず、その境界も、原被告が争う範囲を超えたところに定めることも可能です。
つまりは、この訴訟は、裁判所が境界を「確認する」訴訟ではなく、はっきりしない境界を「新たに定める」という意味になる「確定」をする訴訟なのです。
ですから、この訴訟は、実質的には法律上の争訟ではない、非訟事件と考えられています。
(2) 筆界特定
筆界特定とは、筆界(表題登記がされている土地とその隣接地との間の境となる線)の現地における位置を、不動産登記法に定める手続によって特定することです。
手続としては、土地の所有権の登記の名義人等が法務局の長等の指定した筆界特定登記官に対して申請を行った場合に、同登記官が、筆界調査委員が事実の調査等に基づき提出した意見を踏まえて、筆界特定書を作成して行うことになります。
この手続では、司法書士及び土地家屋調査士に一定の範囲で代理権が認められています。
制度の趣旨と効力
筆界特定制度は、 土地の筆界の迅速かつ適正な特定を図り筆界をめぐる紛争の解決に資するため、平成17年の不動産登記法の改正により新設されたものですが、これがなされても、当事者が納得しないときは、境界画定訴訟を起こすことができます。その結果、境界確定訴訟の判決と抵触する範囲において、筆界特定の効力は失われます(不動産登記法148条)。
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