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遺言執行者の復任権など

2018年12月26日

テーマ:令和時代の相続法

コラムカテゴリ:法律関連

(遺言執行者の復任権)
第1016条 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
【解説】
第1項 
遺言執行者には復任権があります。
遺言執行の内容が多岐にわたり、遠隔地へも行くなど、仕事範囲が広範囲になる場合など、この規定があると便利です。
第2項
遺言執行者の委任した復遺言執行者のしたことについては、遺言執行者は全面的な責任がありますが、やむを得ない事由から(急病になり、早急にすべき遺言執行があるなどした場合)復遺言執行者を選任した場合は、選任と監督面でだけ責任を負うことになります。

(遺言執行者が数人ある場合の任務の執行)
第1017条 遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
【解説】
遺言執行者が数人ある場合の規定です。

(遺言執行者の報酬)
第1018条 家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。
2 第648条第2項及び第3項の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用する。
【解説】
第1018条
遺言執行者の報酬の決め方は、遺言者が遺言書に定めたときと裁判所が決定で決めたときです。

(遺言執行者の解任及び辞任)
第1019条 遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。
2 遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
【解説】
遺言執行者の解任も辞任も、裁判所の許可が要ります。
遺言執行者は、相続人の代理人でも、相続人の頤使に甘んずべき存在でもありません。ですから、遺言執行者が相続人の言うことを聞かないという理由での解任請求は認められません。

(委任の規定の準用)
第1020条 第654条及び第655条の規定は、遺言執行者の任務が終了した場合について準用する。

(遺言の執行に関する費用の負担)
第1021条 遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。
【解説】
遺言執行者がする遺言執行には費用がかかります。その費用は相続財産から支払うことになりますが、遺留分計算の基礎財産からその金額を控除することはできません。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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