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2 指定相続分

菊池捷男

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テーマ:令和時代の相続法

2 指定相続分 ― 相続分の指定と相続分の指定の委託
【条文の引用】
(遺言による相続分の指定)
第902条 被相続人は、前2条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。

【解説】
1指定相続分の意味と機能
 指定相続分とは、被相続人が遺言で指定した相続分、又は被相続人が遺言で誰かに相続分の指定を委託した場合において受託者が指定した相続分をいいます。
前者の遺言事項は「相続分の指定」といわれ、後者は「相続分の指定の委託」といわれます。
相続分の指定があれば、法定相続分ではなく、指定相続分が遺産分割の基準になります。

2 特定財産承継遺言が相続分の指定になる場合
 遺産の分割の方法を定めた遺言が同時に相続分の指定になる場合もあります。
すなわち、相続分の指定は、相続割合を指定ことでできますが、特定の財産を特定の相続人に承継させる遺言(特定財産承継遺言)の場合でも、その財産が法定相続分の割合を超えるときは相続分の指定にもなるのです。

次の裁判例がその理を述べています。
【判例引用】
東京高等裁判所昭和45年3月30日判決
 被相続人が自己の所有に属する特定の財産を特定の共同相続人に取得させる旨の指示を遺言でした場合・・・その特定の財産が特定の相続人の法定相続分の割合を超える場合には相続分の指定を伴う遺産分割方法を定めたものであると解するのが相当である。

例えば、全財産が1億円ある遺言者が、そのうち8000万円の価額の特定の財産を相続人Aに、遺言によって相続させた場合、Aは8000万円/1億円の割合の財産を取得したことになりますので、つまりは8/10の相続分の指定を受けたと解されるのです。

これは、民法899条の「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」という規定からも導かれる結論ですが、要は、遺言で法定相続分を超える相続財産を得た相続人は、同じ割合だけ、債務も承継しなければならないことになるのです。

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菊池捷男
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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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