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2 祭祀に関する権利の承継

菊池捷男

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テーマ:令和時代の相続法

2 祭祀に関する権利の承継

【条文の紹介】

(祭祀に関する権利の承継)
第897条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

【解説】
 祭祀に関する権利というのは、系譜(人の血縁関係を順に記録した家系図)をはじめとする祭具や墳墓の所有権などをいいます。
これらは、「祭祀財産」ともいわれます。
なお、判例(最高裁判決平成元年7月18日判決)は、遺骨も祭祀の主宰者に帰属すべきものと判示しています。

法は、これら祭祀財産は相続の対象ではなく、「祭祀の主宰者」が承継すると規定しました。

祭祀の主宰者は、①被相続人の指定した者、②慣習があれば慣習、③それらが明らかでない場合は家庭裁判所が指定した者になります。

 裁判所が審判で、祭祀の主宰者を定める場合、相続人には限ってはいません。内縁の配偶者の場合もあります。また、人数も1人に限られるものではありません。後妻と先妻との長男が祭祀の主宰者に指定されたケースもあります。
 
 しかしながら、祭祀の主宰者は、系譜という言葉があるように、世代にわたって墓を守る立場の人になるのですから、被相続人じしんが生前又は遺言で決めておくことが望まれます。

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菊池捷男
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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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