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配当と支払

菊池捷男

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テーマ:法令用語

1 配当と支払の違い
 配当とは、一般的には、分配すること、分け与えることをいいますが、法令上は、①会社等の営利団体が利益の処分として株主その他の出資者に利益を分配すること、②民事執行、破産手続において、差押財産、破産財団をもって複数の債権者の債権に割当弁済することの意味で用いられています(法律用語辞典 第4版)。

 一方、支払とは、一般的には、金銭債務の履行として金銭を払い渡すことをいいますが、国の会計においては、通常、小切手の振出し等の現金支払命令に対して、次の段階である現金を現実に支払う段階をいう(有斐閣 法律用語辞典 第4版)とされています。


2民事執行法での用語

 民事執行法84条は、競売で買受人が裁判所に代金を納付した後の手続として、「執行裁判所は、代金の納付があつた場合には、次項に規定する場合を除き、配当表に基づいて配当を実施しなければならない。
2 債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて売却代金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、執行裁判所は、売却代金の交付計算書を作成して、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。」
と規定しています。

 ここから分かることは、債権の全額を支払う場合、又は裁判所が持っているお金を一人の債権者に全額を支払う場合に、「弁済」という言葉を用い、債権者が複数いて、裁判所が持っているお金を全債権者に全額支払えない場合に、一定の基準に従って債権の一部を支払う(分配する)ことを「配当」という表現にしていることです。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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