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使用貸借権(使用借権)がある場合の考えの整理

2018年9月6日

テーマ:相続(遺産分割篇)

コラムカテゴリ:法律関連

子の一人Aが、親の生前、親の土地の上に建物を建てさせてもらっていた場合の、遺産分割の際の考え方

1 建物の所有者であるAには使用貸借権があること
Aは親から、土地の上に建物を建築できる権利(使用貸借権)の設定を受けたことになりますので、遺産分割の際の遺産である土地の価額は、このAの権利分を引いて算出する必要があります。

2 Aの権利の価額
 Aの権利の価額は、残存使用貸借期間(最高裁判所昭和59.11.22判決は,建築後40年間を目安にしています)があと何年残っているかにもより、異なります。
東京地方裁判所平成15年11月17日判決の例では、使用貸借権の価額は、収益還元法ほか一つの方法を組み合わせた方法で土地の更地価格の15%にしています。
この件はアパート所有目的の土地の使用貸借権の価額ですが、土地がすぐに返還されないという意味では自宅とアパートに差はありません。
これにより、遺産になる親の土地は、兄の権利分だけ価額は低くなります。

3 特別受益の持戻し免除があるかどうかも考える
 もっとも、Aの権利分といっても、それが特別受益になり、遺産分割の際持戻し計算される場合は、Aの権利分は0でよいのですが、被相続人より持戻し免除の意思表示がなされている場合は、違ってきます。
特別受益の持戻し免除は、状況により、黙示の場合もあります。つまりは、被相続人は何も言っていないのに、裁判所が、被相続人は特別受益の持戻し免除をしていたと認定することがあるのです。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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