相続の単純承認とみなされる「相続財産の処分」とは?
相続順位一位の子が相続放棄をした場合、孫が相続人になることはありません。相続放棄をすると、その者は相続人ではないことになるので、代襲相続はないからです(民法939条、民法887条2項)。
ここで、代襲相続について、次のとおり、まとめてみました。
2 代襲相続
(1)代襲相続の意味と発生原因
代襲相続とは、本来の相続人が、相続開始前に亡くなっていたなど代襲原因がある場合、その直系卑属(孫・ひ孫など)が本来の相続人に代襲して相続人になりますが、その代襲者のことをいいます。
子の代襲相続人は、孫、ひ孫などです。
ただし、本来の相続人が兄弟姉妹の場合は、甥・姪までしか代襲相続人にはなれません。甥の子や姪の子までは相続人にはなれないのです。
(2)代襲原因・・・相続放棄は代襲原因ではない
代襲相続が発生するのは、①被代襲者の死亡、②欠格事由がある場合、③相続人廃除がなされた場合です。
相続人が相続放棄をした場合は、代襲相続をしません。
(3)遺言書で財産を相続することを指定された者も代襲相続はしない
民法994条1項には、「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。」と規定していますので、受遺者につき代襲相続はありませんが、最高裁判所平成23.2.22判決は、特定の相続人に遺産を「相続させる」と書いた遺言(これは「遺産の分割の方法を定めた遺言」です。)の場合も、代襲相続人をしないと判示しています。