女性経営者 広岡浅子
オーナー経営者が亡くなったときは、後継者相続人Aは、会社の代表取締役として、他の相続人BCDが相続した自社株につき売渡請求をすることができます(会社176条)。売渡請求によって、会社が取得した自己株式を金庫株として保持しておけば、議決権の分散の防止と後継者Aの議決権比率の増大を図ることができます(自己株式は議決権がなく、議決権割合の計算上、分母からも分子からも除かれるから)。もっとも、会社が売渡請求によって自己株式を取得する場合に財源規制(配当可能額の範囲内)がかかりますので(会社461条1項5号)注意が要ります。
参照:
会社法176条(売渡しの請求)
株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を定めたときは、同項第二号の者に対し、同項第一号の株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。ただし、当該株式会社が相続その他の一般承継があったことを知った日から一年を経過したときは、この限りでない。
会社法461条(配当等の制限)
次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。以下この節において同じ。)の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
1号から4号までと6号以下略
5号 第176条第1項の規定による請求に基づく当該株式会社の株式の買取り