離婚 3 離婚に伴う年金分割
これは訴訟にまでなった事件です。
夫は、妻とは性格の不一致があり、破綻しているので、どうしても離婚したいとの一念です。
訴状には、夫婦不和の事実が書き並べられています。
妻は、答弁書で、夫婦の不和というのは、夫の誤解であることを、言葉少なく書いていました。
法廷で、夫と妻は顔を合わせますが、妻の夫や夫の代理人である弁護士に向ける目には、何か悲しみが宿っているようでした。
夫は、妻を無視し、時に怒りの感情を宿した視線を妻に向けます。
そのような法廷での、何回目かの弁論期日を終え、いよいよ証拠調べに入るという段階になった、ある日のことです。
夫が、代理人である弁護士の事務所を訪ねてきました。
弁護士のいる部屋の入り口で、少し顔を見せ、なにか、申し訳なさそうな顔をしていました。
「どうされました?どうぞ、部屋へお入りください。」
と弁護士に促されて、夫は、開いたドアから半身を入れますが、どうも誰かを連れてきている様子です。
「誰かをお連れになっているのですか?遠慮は要りません。どうぞ、ご一緒にお入りください。」
とは弁護士の言。
すると、夫は、恥ずかしそうに、連れてきた女性を引っ張るように、そして、押し出すように、代理人である弁護士の方に、その姿を向けるのです。
弁護士。あっと驚くのです。
「え、あなたは、・・・」
なんと、夫が連れてきた女性は、離婚訴訟を起こし、争っている妻だったからです。
弁護士は、「ああ、そういうことでしたか。元の鞘に収まることができ、結構でした。おめでとうございます。」
こんな離婚事件もあるのです。