改正個人情報保護法の狙い ビッグデータを活用する新たな産業の創出
1 法律上の立場
「執行役員」は、会社法には規定のない用語である。
会社法でいう「役員」とは、取締役・会計参与・監査役をいう(会社法329条)。
また、「役員等」とは、取締役・会計参与・監査役、執行役及び会計監査人をいう(会社法423条)。
したがって、執行役員は、会社法上の「役員」でないだけでなく「役員等」にも含まれない。
通常、執行役員は、代表取締役や業務執行取締役の指揮監督の下で、これを補佐する一定の権限を与えられた会社法362条4項3号の「支配人その他重要な使用人」に含まれると思われるが、会社法に存在しない役職であるから、会社によって、その地位や権限が違ってくると思われる。
一方、「執行役」は、会社法上、指名委員会等設置会社のみに置かれる役員である(会社法402条1項「指名委員会等設置会社には、一人又は二人以上の執行役を置かなければならない。」)。
2 執行役員を置いている会社
通常、執行役員は、従来型の監査役(会)設置会社や、平成26年の会社法改正で導入された監査等委員会設置会社に置かれることはあっても、指名委員会等設置会社には、執行役という正規の業務執行機関が設置されていることから、誤認混同されやすいため、置かれないと思われる。
3 執行役員が置かれるようになった理由
執行役員が置かれるようになったのは、バブル崩壊後、取締役会のスリム化が進められたことによるものとされている。すなわち、わが国の年功序列型雇用契約の下では、会社の取締役は、長い間働いて会社に貢献した従業員の最終ポストだと観念されてきた。かつては、上場会社にあっては30ないし40名の取締役も珍しくはなく、会社が合併した場合には80名を越す取締役が生まれた会社もあったようである。しかしながら、バブル崩壊後、経営のスリム化の点から、取締役の数を減らす必要が出てきた。そのためには、取締役から取締役の地位を奪う必要が生じたが、そうすると、取締役でなくなる者は、降格されたとの印象を内外に与えることになる。そこで、会社はそれを避けるため、役員という名のついた執行役員という言葉を、従業員になった元取締役にために使うようになったといわれている。
なお、執行役員制度(事実上の制度で、法律上の制度ではない)は、バブル崩壊後の1997年にソニーが採用したのが始まりとされている。
4執行役員の権限
執行役員は、法的には従業員であるから、取締役としての善管注意義務や忠実義務は負わない。
5 コーポレートガバナンス・コードとの関係
現在、上場会社に対しては、もの言う株主が力を付けてきている。もの言う株主は、相談役とか顧問という、会社法にはない肩書きの廃止を求めており、執行役員も、あいまいな存在であることから、最近ではこれを廃止する動きもあるもようである。
6 会長、社長、専務、常務などの呼称について
これらは全て、会社法上にない用語である。
とはいうものの、会社が取締役や従業員に、これらの呼称の使用を許すと、会社に責任が生ずる場合がある。これは、会社法354条の表見代表取締役制度のことである。
7 代表取締役、業務執行取締役
これらは会社法上にある用語である。