改正個人情報保護法の狙い ビッグデータを活用する新たな産業の創出
1 所有と経営の分離
英語では、株主をshareholder(シェアホルダー)といい、社債権者をbondholder(ボンドホルダー)といい、会社債権者その他の利害関係人をstakeholder(ステークホルダー)というが、わが国では株主は「主」、つまりは、ご主人さまである。ここから明らかなように、株主は、会社の所有者と観念される。
では、会社の所有者が会社の経営者か、というとそうとは限らない。中小企業の場合は、会社の所有者が会社の経営者になるというのが一般的な姿だが、上場会社になると、株主というだけでは会社の経営は無理である。専門知識を有し経営能力に優れた者に経営を任すことにならざるをえない。これがいわゆる「所有と経営の分離」といわれる現象である。
2 所有と支配の分離 ― 持ち合い株式が、これを可能にする
「会社の所有と経営の分離」とは似て非なる言葉がある。それが「会社の所有と支配の分離」である。株主は、会社の所有者であり、株主総会で取締役を選任し、また、解任する権限を持つ。この取締役会の選任・解任権限を通して、株主は会社を支配することができるが、ひとたび会社の経営者になった取締役が、他社(一社とは限らない)の経営者と、相談の上、会社同士が株主総会を支配できる程度の株式を相互に持ち合って、株主総会のときに委任状を交換すれば、どうなる?会社の経営者は、株主総会を支配することができ、意に反してその地位を追われることはなくなる。つまりは、株主の支配という軛(くびき)から解放されることになるのである。
日本経済新聞2018年1月30日号の記事「一目均衡」には,上場会社が保有する政策保有株式(持ち合い株式)の弊害は大きいとか、目下上場会社の最大の岩盤だと書かれていたが、それは故なしとはしないのである。
「コーポレートガバナンス・コードでも「いわゆる政策保有株式」と命名して、この問題を批判的に取り上げている。
ただ、待合株式に批判的なのは、企業の買収を考える側の考えであり、逆の立場、つまり企業の買収とか乗っ取りを阻止したい側からは、持ち合い株式は必要な慣習であると考えるようである。
買収する会社、買収される会社、という立場の違いが、持ち合い株式の評価に、大きな差をつけているのである。