ポレートガバナンス・コード改革が動き始めた② 代表取締役の解職をクーデターというのは、昔の話
1 大手ゼネコンの談合事件発覚
暮れも押し詰まった2017年12月19日、大手ゼネコン4社に、東京地検特捜部と公取委の家宅捜索のメスが入れられた。
談合という、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑である。全貌はこれから解明されるが、なんと九兆円超の巨大プロジェクトにまつわるものだというから驚きである。
ところで、談合となると、これらの会社は、課徴金が課せられる可能性が大であるが、大手ゼネコン4社のうちの一社であるO社は、この日より前に公取委対し、課徴金減免制度(リーニエンシー)の適用の申請をしていたことも判明。
2 課徴金減免制度
この課徴金の減免制度というのは、事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について,その違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合,課徴金が減免される制度であるが、その制度適用要件は、公正取引委員会が調査を開始する前に一番先に報告すれば、課徴金の全額が免除され、2番目に申し出た会社は50%の免除を受け、3番目は 30%減額されるという制度である。4番目、5番目の報告者も30%減額の対象になりうるが、その場合は、公取委が把握していない違反行為の事実を報告しなければならないことになっている。なお、原則,複数の事業者による共同の報告(共同申請)は認められていないが、一定の要件を満たす場合は,同一企業グループ内の複数の事業者による共同申請が認められ,共同申請を行った全ての事業者に同一順位が割り当てられる。
で、はたして、O社がリーニエンシーの申請をしたのは、単独でしたのか、他の会社と共同で申請したのかマスコミ報道では不明なるも、O社は談合の事実を認め、他の3社のうち少なくとも一社は談合の事実を争っている様子なので、O社のみのリーニエンシーの適用申請かもしれない。
いずれにせよ、少なくともO社に関しては、自主的に、調査開始前に、談合をした事実の報告をするため、公取委へ行ってきたわけである。