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公取委がやってきた!

2017年12月27日

テーマ:会社関係法

コラムカテゴリ:法律関連

1公取委がやってきた!
嫌疑は、下請法違反だという。下請法違反とは、親会社に優越的地位の濫用があると睨まれたということになる。

2公取委、損害賠償と高利の利息の支払いを勧告する!
やがて、公取委は、違反したと睨んだ会社に対し、下請会社に損害の賠償を年14.6%者利息を付けてしなさいと勧告をする。

1 従わざれば、次に来るは課徴金!
公取委の勧告に強制力はないなどと高をくくっていると、公取委は下請法違反から独禁法違反に切り替え、会社に課徴金を課す。

2 課徴金とは、目をむく金額なり!
 優越的地位の濫用にかかる課徴金は、独禁法違反期間(最長3年間)の会社売上額の1%相当額になる。決して少ない金額ではない。
 独禁法違反になる優越的地位の濫用に対する、初の課徴金額は、Mスーパーマーケットに課した2億2216万円(平成23年6月22日)のこと。

3 では、このMスーパーマーケットは、何をしたのかというと、次のことをしたのである。
(1) 新規開店,全面改装,棚替え等に際し,・・・特定納入業者に対し,当該特定納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品について,・・・商品の移動,陳列,補充,接客等の作業を行わせるため,あらかじめ・・・合意することなく,かつ,派遣のために通常必要な費用を自社が負担することなく,当該特定納入業者の従業員等を派遣させていた。
(2) ・・・催事等の実施に際し,特定納入業者に対し,当該特定納入業者の納入する商品の販売促進効果等の利益がない又は当該利益を超える負担となるにもかかわらず,金銭を提供させていた。
(3) ・・・自社が独自に定めた「見切り基準」と称する販売期限を経過したものについて,・・・当該特定納入業者の責めに帰すべき事由がないなどにもかかわらず,当該食品課商品を返品していた。
(4) ・・・当該特定納入業者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず,当該食品課商品の仕入価格に50パーセントを乗じて得た額に相当する額を,当該特定納入業者に支払うべき代金の額から減じていた。
(5) ・・・特定納入業者に対し,・・・注文するよう指示する又は特定納入業者ごとに購入数量を示す方法により,クリスマス関連商品を購入させていた。

4 この件で、公取委が下した排除措置命令とは?
(1) M社は,前記*行為を取りやめている旨を確認すること及び今後当該行為と同様の行為を行わない旨を,取締役会において決議しなければならない。
(2) M社は,前記**に基づいて採った措置を,納入業者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(3) M社は,今後,前記*の行為と同様の行為を行ってはならない。
(4) M社は,今後,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならな
い。
ア 納入業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の改定
イ 納入業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての,役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査

5 また、課徴金納付命令は?
 M社は,平成23年9月26日までに,2億2216万円を支払わなければならない。
                                                            以上
6 狎れてしまうは失敗の元
 ゆめ、事業慣行に狎れてしまわないことである。

7 気がつけば課徴金!
ということにならないように。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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