社外取締役の有用性
「のう。後藤!以前、ホールディングスが増えた理由を尋ねたが、そのホールディングスの作り方を教えてくれ。」
「菊池よ。ホールディングス、すなわち純粋持株会社が、平成9年の独禁法の改正でできるようになったことを話したわなあ。その後、純粋持株会社をつくるため、ということは、その傘下に置く完全子会社をつくるための制度になるが、それが三つ、導入されたぞ。」
「順に、説明してくれ。」
「まず第一が会社分割だ。会社分割にも、吸収分割と新設分割があるが、ホールディングスをつくるのは、新設分割になる。
株式会社の特定の事業分野を、子会社にするわけだ。出来上がった会社は、新設分割設立会社といわれるがな。」
「A社が会社分割をして、B社という新設分割設立会社ができると、A社がB社の100%親会社(完全親会社)になり、B社は完全子会社になるということかい。」
「そのとおりだよ。」
「では、B社で働く、それまでA社の従業員あった者と、B社との法律関係はどうなるんだい。」
「従業員はA社からB社に勤め先が変わるから、新たな労働契約を結ばなければならないよ。だから、会社分割をする場合は、労働契約承継法という法律で、従業員及び労働組合と協議をしなければならないことになっているんだ。」
「B社の事業に許認可が要る場合は、新たに許認可を取得する必要はあるのかのう。」
「新たに許認可を取らなければならないよ。A社に与えられた許認可が利用できるわけではないからな。」
「会社分割以外の方法は?」
「第二が株式交換、第三が株式移転だ。」
「株式交換とは?」
「株式交換とは、既存のD社の発行済み株式の全部を、他の会社C社に取得させることで、C社を完全親会社、D社を完全子会社にする方法だよ。」
「では、それまでD社の株主だった者は、どうなるんだい。」
「D社の株主だった者には、C社の株式又は現金が与えられることになるよ。」
「では、株式移転とは?」
「既存のF社の株主が有する株式の全部を、新たに設立するE社に移転する方法だよ。」
「以上三つの方法は、全株主の同意なくしてできるのかい。」
「そうだよ。株主総会の特別決議があれば、それに反対する株主の株式も交換されたり移転することになるよ。」
「手続は、合併などのように複雑な手続になるのかい?」
「合併の場合は、消滅する会社があるために、その消滅会社の権利義務の承継問題が生ずるが、以上三つの方法は、消滅会社がないだけ、簡単にできるよ。」