コラム
建設協力金は、新所有者が引き継がない理由
2017年9月9日
最高裁判所昭和51年3月4日判決は、
「上告人は、・・・から同人所有の本件建物(ビルデイング)を、期間、、、賃料・・・、敷金・・・、保証金・・・の約定で賃借し、上告人は・・・右敷金及び保証金を大塚に差し入れ、本件貸室の引渡を受けた。
・・・本件保証金に関する約定は本件賃貸借契約書の中に記載されていたが、右保証金は、大塚が本件建物建築のために他から借り入れた金員の返済にあてることを主な目的とする、いわゆる建設協力金であつて、本件賃貸借契約成立のときから五年間はこれを据え置き、六年目から毎年日歩五厘の利息を加えて一〇年間毎年均等の割合で大塚から上告人に返還することとされている。
・・・本件保証金は、その権利義務に関する約定が本件賃貸借契約書の中に記載されているとはいえ、いわゆる建設協力金として右賃貸借とは別個に消費貸借の目的とされたものというべきであり、かつ、その返還に関する約定に照らしても、賃借人の賃料債務その他賃貸借上の債務を担保する目的で賃借人から賃貸人に交付され、賃貸借の存続と特に密接な関係に立つ敷金ともその本質を異にするものといわなければならない。・・・新所有者は、特段の合意をしない限り、当然には保証金返還債務を承継しないものと解するのが相当である。」
と判示しております。
【権利保全策】
賃借人であり、建設協力金の貸主は、建設した建物について、一番抵当権又は銀行融資の後の二番抵当権の設定を受けておくべきでしょう。
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