債権法改正 不法行為による債権と人損についての時効の改正点
現行法の下では、金銭消費貸借契約は、要物契約、つまりは、現金を交付することで成立する契約になっていますが、改正法の下では、書面による場合に限って、諾成的契約による金銭消費貸借契約の締結が可能になります。
この諾成的金銭消費貸借は、借主に一定の資金需要が生じた場合に結ばれるものですから、借主は、目的物の授受前に限り、この契約の解除ができます(ただし、これにより貸主に損害を生じさせたときは、その賠償義務はあります。)。
借主に資金需要がなくなったときなどに解除がなされるものと思われます。
なお、口頭による諾成的金銭消費貸借契約は無効です。
融資形態の技術化と高度化
現在、金銭消費貸借契約の中には、ノンリコースローン(非遡及型融資、責任財産限定型ローン又は責任財産限定特約付ローン等の呼び方があります。)といって、返済の原資を限定する金銭消費貸借契約(例えば、事業用の不動産を購入するにあたり、その返済原資を当該不動産から挙がる賃料収入又は売却代金に限定し、その他の資産や収益を弁済減資にしない融資形態。これによりリスクを限定できるメリットがある分、金利は高くなる。また、この契約の場合は、保証人を必要としない。)がありますが、このような契約は、極めて高度に技術的な要素を含みますので、契約書の内容は複雑なものになりますが、これから先も、種々の金融技術が開発されると思われ、その分、契約書の中身の研究が進められるものと思われます。
なお、一般的な金銭消費貸借契約を結ぶ場合も、「○○物件を購入するための資金として」など、契約の目的はきちんと契約書に書くべきです。