遺留分法理③ 遺贈(ここでは相続分の指定)+贈与により侵害された遺留分額の計算法理
遺留分減殺請求訴訟の中では、寄与分の主張はできません。
遺留分権利者からみれば、遺留分は、最大でも、法定相続分の1/2でしかないため、それの減殺(遺産の獲得)ができたとしても、確保できる遺産は少なく、納得できない、そこで、遺留分権利者に寄与分があれば、なんとか、それを認めてもらって、少ない遺留分に上乗せしてもらえないか、と考えるのは、自然の情ですが、寄与分は、家庭裁判所の審判事項ですので、遺留分減殺請求訴訟では、取り上げられないのです。
逆に、遺留分減殺請求を受ける側の、受遺者や受遺相続人からみて、相続人の意思は、遺留分権利者に対し、遺産を与えたくない、与えても、遺留分に満たない遺産しか与えない意思なのだから、受遺者や受遺相続人に寄与分がある場合は、それを遺留分算定の基礎財産から除外して、遺留分を計算してもらいたいと考えるのも、また、情というべきかもしれません。しかし、・・・
下記判例は、受遺者や受贈者から、寄与分の主張ができるかという争点に答えたものですが、遺留分権利者からも寄与分の主張ができないことは、いうまでもありません。
最高裁平成11年12月16日判決
寄与分は、共同相続人間の協議により定められ、協議が調わないとき又は協議をすることができないときは家庭裁判所の審判により定められるものであって、遺留分減殺請求に係る訴訟において抗弁として主張することは許されない。