立法論としての相続法③ 配偶者の居住権の保護
実は、民法911条は「各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。」という規定を置いています。
これは、「共同相続人間の担保責任」を定めた規定です。
要は、この規定は、遺言書や遺産分割で取得した遺産に、数量不足があったり、破損など瑕疵があったような場合は、それによる不利益を、当該遺産を取得した相続人だけの損失とはしないで、他の相続人にも、相続分に応じた責任を負わせようとするものです。
実務上は、この規定の適用を求めて相続人間に紛争が生ずるケースはあまりありませんが、ただこの規定があるだけで、相続人の紛争の芽になる可能性はあります。
そこで、
遺言書
第○○条 子供たちそれぞれに本遺言書によって取得させた遺産について、数量不足や破損などの瑕疵があったとしても、他の相続人に担保責任を求めることは許さない。
と書いておきますと、この紛争は生じません。