コラム
「相続させる」遺言法理⑥ もう一つの「相続させる」遺言書
2017年1月28日
ここまで、平成3年に出された香川判決以後の、判例法理の説明をしてきましたが、実は、この判例は特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」遺言についての判例です。
ところで、「相続させる」遺言には、もう一つありまして、それは、相続割合を指定する遺言書です。
例えば、
「遺言書
「私は、妻凸山花子に遺産3/5を相続させ、長男凸山一郎に1/5を相続させ、長女に遺産の1/5を相続させる。」
というような遺言書です。
この遺言書の場合は、法定相続分(例:妻1/2、長男1/4、長女1/4)に代えて、遺言書で指定した相続分(これは「指定相続分」といわれます。)でもって、相続人間で遺産分割をすることを求める遺言書で、相続人もこの遺言書に拘束されることになります。
相続分の指定遺言書は、
「遺言書
私は、妻凸山花子の相続分を遺産3/5とし、長男凸山一郎の相続分を1/5とし、長女凹川一子の相続分を1/5と定める。」という書き方もあります。
これらについては、遺言執行者がいても、遺言執行者がすべきことはなにもありません。
関連するコラム
- 遺産分割判例法理 「遺産分割による代償譲渡」は有効 2017-01-17
- 遺言執行を要する法定遺言事項③ 認知 2017-02-01
- 公正証書遺言の数 2017-09-30
- 立法論としての相続法③ 配偶者の居住権の保護 2017-06-28
- 遺留分法理③ 遺贈(ここでは相続分の指定)+贈与により侵害された遺留分額の計算法理 2017-03-06
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。