自筆遺言証書で指印は有効とせられた判例
1 遺産の評価問題
遺産分割の調停の席で,遺産(相続財産)の評価をどうするかという問題が提起されることがあります。
特に,不動産の評価をどうするかが問題になることが多いように思えます。
2 評価方法や評価基準につき,合意が成立すればそれによる
遺産の評価方法や評価基準につき,全相続人間で合意ができれば,当然,それによりますので,鑑定は不要になります。
3 合意できる評価基準
その場合,固定資産税評価額をもって不動産の評価額と合意するケースや,相続税評価額をもって不動産の評価額と合意するケースもあります。
4 「課税価格」イコール「相続税評価額」ではないこと
ところで,この「相続税評価額をもって不動産の評価額と合意する場合」のことですが,多くの関係者は,土地については路線価(市街化区域内の土地)又は固定資産税評価額に国税庁が定めた一定倍率を乗じた金額(倍率方式・路線価のない土地),建物は固定資産税評価額(これは相続税評価額と同じ)をもって,相続税評価額とする意思であると思われますが,これは,相続税申告書に書に書かれた不動産ごとの「課税価格」ではありません。
5 政策減税による評価減
それは,「課税価格」が当該不動産につき小規模宅地に認められた評価減など政策減税制度を受けておれば,減額された後の金額が書かれるからです。
ときに,固定資産税評価額よりも,ずいぶん低いと思われる課税価格に出合った場合は,それが当該土地について,政策的な評価減がなされた場合であるかを疑ってみるとよいでしょう。