使用者のための労働問題 性同一性障害者に対する態度
最近,立て続けにパワハラの相談を受ける。
いずれも,被害者が鬱になり,会社に出勤できなくなったことから判明。
原因は,特定の上司の暴言や無理強い。
調査をすると,パワハラ加害者,いずれも,加害者たるの自覚がない。
あるケースで,
Bさん!あなたの言動がAさんを鬱にしたようだよ。
これを聞いたBさん。Bさん自身が鬱になり,会社に退職願いを提出。間もなくAさん,会社に復帰。
あるケースで,
Cさん!あなたの部署を換えるよ。Aさんはあなたと共に仕事はできないと言っていること,今の部署でAさんは必要なこと,が理由だ。
するとCさん,会社に対し,元の職場に復帰させろという,労働審判を申し立てる。無論,Cさんに,元の職場に復帰することを求める権利などない。この労働審判申立事件は,結局,Cさん,裁判所から説得され,取り下げて終わる。
その会社では,Cさんのいなくなったおかげで,Aさん無事職場へ元気に復帰。
Cさん,別の部署で勤務を続けているが,今度は,Cさん鬱になったか,休みがちになる。
最近,大手広告会社で,超過勤務による過重労働が原因で自殺したとされる女子従業員のことが,マスコミ報道されていたが,人は,長期間労働したからと言って,簡単に自殺するものではない,と思う。
その女子従業員の自殺の陰には,人間関係からくる圧迫や軋轢,そこから生ずる“鬱”があったのではないかと思われる。
被害者から見ればパワハラ,加害者と名指しされる者から見れば通常の部下に対する接触。
これにはどんなものがあるかと言えば,①繰り返えす小言や注意,➁仕事のやり直しの求め,③仕事ができないという能力評価の言,④私生活への関心や質問,⑤大きな声での叱責,⑤机を叩く,椅子を蹴るという感情表現などがある。
このような上司の態度が被害者を鬱にする蓋然性は,極めて高い。
しかし,加害者も実に神経が,か細い。
ときに部下から逆襲されるや,加害者転じて被害者になる。
これは上記の例を見ても妥当するであろう。
従業員を鬱にするのは,長時間労働よりも,上司(場合により,同僚。ときに部下もある。)から来る圧迫以外のなにものでもない,と思う。
日頃,会社が意識的に,経営者自らと役員,従業員全員が,丁寧で穏やかな言葉を使っての仕事をする慣行を樹立していたら,世に言うパワハラは激減するように思えてならない。
職場環境も,乱れの最初は,言葉から,と思われる。