使用者のための労働問題 性同一性障害者に対する態度
最高裁判所第二小法廷平成28年7月8日判決は,
1 労災事故になる要件として,
「労働者の負傷,疾病,障害又は死亡が労働者災害補償保険法に基づく業務災害に関する保険給付の対象となるには,それが業務上の事由によるものであることを要するところ,そのための要件の一つとして,労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある状態において当該災害が発生したことが必要であると解するのが相当である(最高裁昭和57年(行ツ)第182号同59年5月29日第三小法廷判決・裁判集民事142号183頁参照),とした上で,
2 事実関係として,
被害者従業員は,会社により,「その事業活動に密接に関連するものである本件歓送迎会に参加しないわけにはいかない状況に置かれ,本件工場における自己の業務を一時中断してこれに途中参加することになり,本件歓送迎会の終了後に当該業務を再開するため本件車両を運転して本件工場に戻るに当たり,併せてE部長に代わり本件研修生らを本件アパートまで送っていた際に本件事故に遭ったものということができるから,本件歓送迎会が事業場外で開催され,アルコール飲料も供されたものであり,本件研修生らを本件アパートまで送ることがE部長らの明示的な指示を受けてされたものとはうかがわれないこと等を考慮しても,Bは,本件事故の際,なお本件会社の支配下にあったというべきである。」と判示し,上記交通事故を労災事故と認定し,労災事故と認めなかった原審高裁判決を破棄しました。